羊頭狗肉 虚偽広告
無事第二子が誕生した。うちは二人とも男の子で、上の子は敏記、下の子は茂洋という(仮名)
初めは快適に順調に日々は流れていった。
しかし!茂洋が6か月になった頃、あのいやーな感覚が戻って来た。疲れ、不安
憔悴、落ち込み。
少し長く睡眠をとるなど工夫しても改善しない。
茂洋が生まれてから間もなく引っ越しをし、土地勘もない。
近くに産婦人科(二谷産婦人科 仮名)があったので(ホルモンのバランスでうつになる事もあると聞いていた)のでとりあえずそこを受診することにした。
症状と、第一子の時も同じような事があり精神科にかかったことを説明する。
間髪をいれず、二谷は「もうねえ!最近のお母さんは大人になりきらないで子供産んじゃうからねえ!困ったもんだ」と吐き捨て、「じゃうつの薬出しとくから。2週間」
処方箋を書いている間もずっと「今どきのお母さん」についてぶつぶつ言っていた。
私はいきなりの責めに涙を流してしまった。会計を待っている間もめそめそ泣いていたが、ふと壁に貼られた雑誌の切り抜きを見てそれは怒りに変わっていった。
満面の笑みのの二谷医師が、『うちは妊婦さんの不安によりそって、安心して出産が出来るようにしています』とインタビューに答えている。
不安によりそう医師が、あんな切って捨てるような言い方をするだろうか。
確かに私は親として足りない所はあるかもしれない。けれど、母も産んで親として育っていく側面もあるはず。産む前から完成形でなくてはいけないのか?「大人になってから産め」と言うが、誰が「あなたは大人になった。産んでもよろしい」と判断するのか?大人になりきれてなくて産んだ、と責められてももう産んでしまったものをどうしろと?だいたい苦しんでいる人間に対してあの言いぐさは…
怒りが次から次へと湧いてきた。羊頭狗肉とはこの事か。私は切り抜きに向かってこっそり悪態をついた。
二谷産婦人科には二度と行かなかった。