そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

患者図鑑2 激怒するご婦人

入院譚に入る前に、A病院外来で見た印象深い患者さんについて。

そのご婦人は、待合室に配偶者と思しき男性と座っていた。

酷くイライラしている様子が傍からも伝わって来た。夫らしき人は

あれこれと世話をしようと気を使っているのだが、彼女は忌々し気に手を

払いのけ、舌打ちをしていた。

名前が呼ばれたようで、連れだって診察室に入っていた。五藤先生の

診察室だった。

ほどなくして診察室からどなり声が聞こえた。女性患者によるものだ。

「あんたね!私医者なんか信用してないんだからね!本当に馬鹿なんだから。

あんたたち最低よ!!」どうも五藤先生に向かって怒りまくっているのである。

様子をうかがうに、この女性患者は初診らしい。初対面の五藤医師に対して

怒るネタもないと思うのだか、(だから具体的な事項について怒っている様子は

なかった)ともかく延々と罵倒し続けるのである。「馬鹿」「あんたなんて」

どうしようもない」

五藤先生はベテランなので「うんうん。僕に対して不満があるのは分かった。

それで…」と冷静に病識などを聞き出そうとしている模様。

しかし女性の罵声はとまらない。かつ話は全く進まない。

ここまで来ると、私の関心事はこのやりとりがいつまで続くかに移っていく。

精神科の場合、本当に数分で面談が終わる事もあれば、延々と話が続き時には

一人30分以上かかる事もある。五藤先生は絶対に話を遮る事はなく、そこが

先生の良い所でもあるのだが、自分の前の人の診療時間によって

こちらの待ち時間は大幅に変わってくるのである。

こればっかりは読めないが、前の人が数分で終わってくれればラッキー。

そうでなければ…

この女性患者の診察が膠着すればするほど、私の待ち時間も長くなっていく。

30分過ぎ、40分すぎた。

ようやく女性はまだまだ憤懣やる方ない風で診察室を出て来た。

私は途中から診察室に注意を払うのをやめていたのだが、怒り疲れたの

かもしれないし、夫が止めたのかもしれない。

私の診察はその二人後だった。40分怒鳴り続けられたはずの五藤医師が、

いつもと何ら変わりのない表情で「如何ですか」と聞いてきたのには

プロ魂と経験を感じた。