七瀬先生 ーカウンセラールーレットー
入院中の診療は、週一回きちんとした診察の時間が取られ、他は
時々先生が様子を見に来るスタイルだった。
五藤医師が「どう?」と病室を覗きに来たのをつかまえてカウンセリングを
受けたい旨話した。
「カウンセラーがいらっしゃるのなら、カウンセリング受けたいんですけれど」
言外に何故もっと早く教えてくれなかったのかという非難を込め伝えた。
「ああ、そうなの。受けたかったんだ。じゃ、入院中にカウンセリング開始
出来るよう予約いれとくね」と先生は全く悪びれず、あっさりと返して来た。
五藤先生のキャラクターだ。
これも後からわかったのだが、ここのカウンセリング部門には複数のカウンセラー
が所属していて、どのカウンセラーにあたるか、これもルーレットである。
カウンセラーの七瀬先生は、五藤先生曰く「たまたま空いてる枠があったから」
私の担当になったのだが、ごれも全くの僥倖であった。