7年間の苦しみの精算
カウンセリングは一回あたり50分なのだが、7年間(当時で)溜まりに溜まった
気持は到底伝え終えられるものではなかった。
「もう時間なのですけれど、また次の時に話を聞かせて下さいね」
七瀬先生は微笑んで初めてのカウンセリングは終わった。
怒涛のように自分の苦しさを訴え続けた50分間だった。
しかし、一ノ瀬先生受診から始まり、私は自分の状況や心境、苦しみや不調を
ずっと伝えきれずに来た。私が訴えたいことに対して診療時間が圧倒的に
足りず、いつも不完全燃焼で、もやもやしたもの、やり残したものを抱えて
帰路につくのがいつもの事だった。
7年間積り積もって膨れ上がったそれを、初めて七瀬先生の前で噴き出すことが
出来たのだ。
カウンセリングが終わって、完全に伝えきった訳ではなかったとはいえ、今まで一人で抱えて来たものを確実に共有することが出来る相手が見つけた手ごたえを覚えていた。