そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

ヘルパー図鑑3(卯川さん再び)利用者失格ー私は怠け者?

卯川さんに、辰倉さんを固定で入れて欲しい旨電話を入れた。

「出来ません」彼女はにべもなかった。

「それだと他の利用者に手が回らなくなるし。辰倉さんが有能なのは

分かってます。でも、それだと安井さんが辰倉さんに甘えて頼っちゃうでしょ」

頼れる存在に頼るのはいけない事なのか?

「ちょうどお話したい事があるので、お時間取って貰えますか?」

 

ヘルパーが来ない曜日に卯川さんはやってきた。

卯川さん「ヘルパーから随時安井さん様子の報告を受けてるんですが、

この所部屋の片づけが全く進んでいないそうですね」

私「はい。ちょっと体調が悪くて、手がつけられませんでした」

卯川「お子さんは?少しはお子さんにもやらせないんですか?」「

私「… すみません」

ある程度育った子供に家事を手伝わせるのは、至極妥当な指摘だ。

私も子供にもっと手伝わせたい気持ちはあった。しかし、家事の手ほどきを

する気力は到底なく、「ちょっと片づけておいて」「自分の物は仕舞って」

と言うのが精いっぱい。

しかし、家事をしろという当人(=私)が全く家事をしていないのだから

説得力がない。そして子供が散らかしっぱなしにしていても、私には

それを叱る余力もない。

卯川「初めにお話ししたと思いますが、どんどんご自身で出来る部分を増やしていって

自立して頂くのが『ひまわり』の目標なんです。安井さんは利用されてから

もう2年なのに、出来る部分がちっとも増えないじゃありませんか」

私はうなだれるしかない。精神疾患は右肩上がりで良くなって行き、

全快するものではない。行きつ戻りつ、上がり調子下り調子を繰り返す。

治ったように見えてもぶり返す。一生付き合っていくケースもあるのが実態だ。

しかし卯川さんから見て、ヘルパーに頼ってばかりで自立できない状況は

納得できないようだった。

卯川「どうして全然良くならないんですか?主治医、病院はどこですか?

何で2年経ってもこの状態なのか、私聞きに行きたいんですけど」

医療の部分に、専門家でも家族でもない卯川さんが踏み込もうとするのは

明らかにやりすぎだ。

私は肯ずることが出来なかった。卯川さんの提案を断ると、彼女は言った。

卯川「これ以上『ひまわり』で安井さんの援助はしかねます。家政婦でも

雇ったらいかがですか?」銀縁眼鏡が冷たく光った。

順調に、日毎に回復し、めでたく援助を卒業。援助する側になる。

そういう「ひまわり」の描く理想像に私は沿えなかった。

 

スパルタ団体「ひまわり」に家事援助を断られてしまったが、

今から思えば、「良くなる」「援助に頼る部分が少なくなる」「自立する」

という「ひまわり」の設定するステップを踏みなさい、との無言のプレッシャー

を受けていた気がする。

援助から段々自立していくのが目標であっても、その人の事情や

病状によっては目標達成に10年20年かかる、長い目で見て欲しかった。

援助会員をめでたく卒業しても、また援助を受ける状態になり、

また元気になり援助会員に戻るケースなども受け入れる余裕をもって

欲しかった。

「ひまわり」側は、私が一緒に調理を行うことを期待していたようだ。

ヘルパーがいる間寝ていることに不満を持っていた節がある。

しかし具合が悪くて寝ているのだ。

後に利用する有償支援団体のヘルパーによると、ヘルパーが仕事をしている間

目の前でスマホをいじっていたり、TVを見ている利用者がいて、納得できないものを感じたという。

それに比べたら、体調不良で伏せているのは許される理由だと感じるのだが。

 

五藤医師に「ひまわり」の顛末を話した。

「あなたは病気なんだから、そして家事の事を気に病んでしまうんだから

全面的に任せちゃえばいいんだよ」と答えてくれた。

ただ、だからどこに頼めばいいのかというアイデアは持ち合わせていないのだった。