ヘルパー図鑑15(宮城さん) みすぼらしい宝物
ごみ屋敷が時折TV番組で放映される。うちもごみ屋敷寸前まで行った事があるので、業者に問い合わせた経験がある。。業者は基本的に物の仕分けはしない。依頼者が予め「要る物」「要らない物」を分けておく。業者はどんどん不要物を運び出し、物が減った部屋を掃除するという行程を取るらしい。
その仕分け自体がかなり大事で億劫なのだが、判断できるのは持ち主しかいないので
そこはやるしかない。
そう言えばスーパー家政婦馬場さんが、
「大切な物、要るものは分けておいて下さい。うっかり処分してしまうと
申し訳ないので」と念を押していた。馬場さん自身がうっかり依頼者の物を捨ててしまった苦い経験があるらしい。
うちもそういう事があった。子供が壊れかけたおもちゃを、思い出の品だからと
取っておいたのだ。
しかしヘルパーの宮城(仮名)さんからすると、それはもう捨てそびれたガラクタにしか見えなかった。洗濯物の山に紛れて置かれていたのもまずかった。
「安井さん!洗濯物の中あった壊れたおもちゃ、捨てておきましたので!」明るく報告され、私は真っ青になった。ゴミ捨て場に飛んでいき、急いで回収した。
宮城さんは謝る事しきりだったが、こちらに取っては大切でも、別の人から見ると
ゴミ同然、ボロ同然なので仕方がない。
それを教訓にして… と思ったのだが、再度同じ事が起こった。夫が旅先で買った、思い出のぐい飲みー一度落としてひびが入り、飲み口も欠けてもいるーを宮城さんが燃えないゴミとして処分してしまい、再度ゴミ捨て場に走る事態があった。
やはり馬場さんの言う通り、きちんと要るものは要ると、明確にしておくのが
賢明なようだ。それがみすぼらしければみすぼらしいほど。