そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

ヘルパー図鑑20 (石川さん)傷つく皿と心

有償家事援助サービスは、援助中の事故(物の損傷、負傷等)に対しては賠償保険に

入っている。ヘルパーが援助中に何か物を壊したら、弁償される。

例えば「ひまわり」のヘルパーが誤って皿を割ってしまった時、新しい皿の購入代金

が支払われた。とはいえ、そのような事態は滅多に起こらなかった。

ところが石川(仮名)さんは物の扱いが荒いのか、大雑把なのか、かなりの頻度で

小さな事故を起こしていた。一つ一つは大した瑕疵ではない。お皿のふちが少し欠けた。菜箸の先を焼いてしまった。フライ返しの柄をちょっと溶かした。その程度の事だ。

そのたびごとに石川さんは「こうなっちゃいましたけど、まあいいですよねぇ」

と自ら不問に付していった。

本来判断するのはこちらだが、確かに買い替えるほどの事でもないし、うちに元々

高価な品物は存在しない。事務局に言うのも億劫に思え、いちいち取り上げる事はしなかった。だが、それが却って彼女を増長させてしまったのかもしれない。

毎月のように何かを小さく破損していくので、ちょっとずつ傷だらけになっている

台所用品やお皿を見て、私の気持ちも少しずつ傷ついていった。

石川さんは調理も少し雑と言うか投げやりだった、彼女が帰った後に、欠けたお皿に

ぞんざいな料理が盛られているのを見ると、少し悲しくなった。