スピリチュアル図鑑5(佐賀先生)山伏とご先祖さま
青森事務所で痛い思いをし、懲りたかと思いきやそうではなかった。
少しの間は、占いについて書いてある本を見る気もしなかったが、そのうち
うつの苦しさのあまり、また私の気持ちはスピリチュアル方面に傾いて行った。
青森先生は駄目だったかもしれない。でも、どこかに別の、本物の先生がいて
救ってくれるかもしれない。
そうして行き当たったのが佐賀(仮名)先生だった。佐賀先生は霊山○○山で長年
修行を積み、超常的な力を手に入れたとの事だった。その力を使って悩み解決や開運相談にも乗ってくれるという。
この場合も逡巡に逡巡を重ねた上、予約を取った。指定された場所は、マンションの一室だった。住所からマンションである事は予め分かっていたものの、修行を積んだ行者
なら山中の洞窟か、人里離れた祠がふさわしいのにな、と思った。
インターフォンを押して入室すると、一面にお札お札お札!少しの隙もないくらいにお札が貼ってあり、白装束に身を包んだ佐賀先生が私を出迎えた。
確かに霊的空間がマンションの一室に繰り広げられている。
佐賀先生が悩みを聞いてきたので「うつから解放されたい」といつもの通り訴えた。
佐賀先生はしばらくの間呪文?真言?を唱え瞑想した。佐賀先生とのやりとりは
会話→呪文・瞑想→会話 繰り返しだった。先生の結論は
「あなたがここに今あるのは、何万、何十万ものご先祖様の存在あってなのです。
なのでいつも有難いと、感謝の気持ちを持ちましょう」
まったくもってその通りで、首肯するより他ない。
私「はい。分かりました。
それでうつを治すには…」
佐賀先生「あなたのご先祖に感謝して…」
結局のところはご先祖様に感謝の気持ちを持ちましょう に終始するのだった。
青森事務所のように高額の契約をふっかけられたわけでも、宗教に入信を求められた
訳ではない。先祖を大切に、は異論はない。けれど何となくすっきりしない、もやもやの残る訪問だった。