スピリチュアル図鑑12(奈良先生)モロッコっぽくないモロッコ占い
占い師の所に行く場合、下調べをしてから予約をしていくという手順を踏むことが
多いのだが、今回の奈良先生はまさに「行きずり」で観て貰ったのだ。
美容院に行った帰路、工事の為いつもと違うルートを通らなくては
ならなかった。
多分こっちの方向に行けばいいとグーグルマップを見ながら歩いていると
小さなスナックのような店の前に手書きの看板が出ているのに気づいた。
「モロッコ占い 1000円」モロッコ占いとはどんな占いだろう?1000円は
安いし、この後用事もない。私はスナックのドアを叩いた。
「はーーい」と出て来た女性はママさんなのだろうか。
昼間なので、スナックはまだ開業前だ。ママもまだ開業前モードで、
すっぴんで髪の毛も適当にまとめただけだ。
「あのー、モロッコ占いというのを見て」
「ああ、どうぞ。占います」
私、こういう者です、と名刺を渡された。
「占い師 奈良美紀子(仮名)」と書いてあった。名刺はスナックママバージョンも
あるのかもしれない。
彼女は私の名前と生年月日を聞いて、ちょっと待ってて、と本を参考にしつつ紙に図や数字を書き始めた。
ん??名前の画数を足している?九紫火星って書いているけど、それって九星気学では?(注:私の実際の九星は違います)
作業を終えた奈良先生は、「あなたの名前ね、総格は○画で、地格は●画。外格があまり良くないわね」「あなたは九紫火星かぁ。旦那さんの誕生日は?それは二黒土星ね。すると相性は…」
ちょっと待って欲しい。モロッコで漢字の画数が関係ある?モロッコで一白水星とか二黒土星と言うのか?
「えっと、先生のはモロッコ占いですよね?私、モロッコ占いって聞くの初めてで。どういう占いなのでしょうか」
奈良先生はちょっと笑って「私ねー、モロッコに少し滞在してた事があって。そこで
占いとかも勉強したのよ」
というが、彼女の繰り広げる占いにモロッコの一片も見受けられない。彼女が
占いの結果を書いてくれた紙を今でも持っているが、姓名判断と九星気学だ。
「あなたちょっと画数が良くないなぁ。通名でいいから改名したらいいと思うよ。
実は、私も」と彼女は名刺の名前を指さした。
「これ本名じゃないの。画数が悪いから美紀子に変えて。そしたら本当に運が好転してねー」
奈良先生には悪いが、路地裏のちょっとくたびれたスナック。名前を変えて「大成功」にはとても見えなかった。
偶然行き当たった占い師。プロではなく気持ち程度で占ってくれる人。
そういう流れでもらった託宣は、物語的には「すごい!当たった!!」「救われた!でエンディングを迎えそうなものだが、今回はそうではなかった。
全然モロッコ要素のないモロッコ占いは、ちょっと変わった体験で終わった。
本場のモロッコ占いを経験した方がいらしたら教えて下さい。