スピリチュアル図鑑22 (東先生)スーパー銭湯と不思議なハンドパワー
今回は占い師や霊能者の話ではなく、スピリチュアル系ヒーリング。
私はスーパー銭湯が好きである。あるスーパー銭湯(仮にMとする)にあかすりや、エステコーナーに混じって小さなパーテーションで区切られた一角があった。
パーテーションには張り紙がしてあって「不思議なハンドパワー」「諸症状改善」
など書いてある。何度かMに通って気になってはいた。料金は20分で1500円ほどだったと思う。
ある日、意を決してパーテーションの中に入って行った。中には椅子が治療者
(仮に東先生とする)用と、患者用の椅子が一つずつ置かれただけである。
東先生は、ごく普通の中年の「おばちゃん」と呼びたくなる容貌の人だった。
歓迎の言葉を皮切りに、自身のハンドパワーの説明から始まった。要旨をまとめた
プリントも貰った。
東先生は生活苦、夫の浮気や離婚など辛酸を舐めて来た。死にたい程苦しい
思いをして寺詣でを繰り返していた頃、夢を見た。夢の中で不思議なパワーを授かり、目が覚めたら右手から形状しがたいエネルギーが出ている事を感じたという。
「私の右手と左手で比べて見て頂戴」と先生は私の手首辺りにかわるがわる手をかざした。確かに右手をかざされるとぽかぽか、そして少しピリピリした感覚を受ける。
左手の方はどうという事もない。右と左が違う事は感じ取れた。
「ではどこが悪いのかしら。20分ありますので、そこに手をかざしますね」
正直にメンタルの事を打ち明けた。他に肩こりや、疲れが取れにくい事も伝えた。
先生はうなずいて、あちこちに手をかざしていく。手首のように素肌だと熱感や
ピリピリ感があったが、服の上からだとそうでもない。
20分終わった。瞬時に解決、という程の実感は正直ない。
先生は「すぐ治る人もいるけれど、何回か通って良くなる人もいるわね。もし
よかったらMに来た時にまたいらっしゃい」
あまり商売っ気やごり押しはない。即効があった訳ではないが、右手は確かにちょっと普通の人と違う感覚もあった。
もう一度くらい行ってもいいな、と思ったが、次にMに行ったのは半年後だった。
パーテーションがあった場所は何も無くなっていた。
「東先生の治療は終了いたしました。今まで有難うございました」という紙だけが貼ってあった。