ヘルパー図鑑33 ヘルパー殺し
ヘルパー図鑑は一旦区切りをつけたつもりだったが、最近友人とヘルパーの
話をしたので記事にする。
既に書いたが、私のブログ内での「ヘルパー」というのは介護保険などの「介護ヘルパー」ではなく、家事援助者一般という意味合いで使用している。
今回は友人かおり(仮名)から聞いた、正真正銘「介護ヘルパー」の話である。
かおりの祖父は、脳梗塞で半身麻痺になった。祖母は先に他界している。
一人暮らしで体が不自由。介護認定を受けてヘルパーに来てもらう事になった。
ところがその祖父和夫さん(仮名)がヘルパー殺しなのである。
和夫さんは前述したように妻を亡くしているので、家事を自分で長年こなして来た。
いわば家事に一家言あるのだ。ここはこう掃除し、食器はこう洗い、味付けはこう。
ヘルパーのする事は必ずしも和夫さんの満足するものではない。
和夫さんはもともとどちらかと言うと口うるさいタイプだったが、体が自由に
動かない事によるストレス、家事へのこだわりがあり弾丸のごとく、矢のように
ヘルパーを糾弾するそうなのだ。その非難っぷりは半端ではなく、家事のやり方
のみならず、ヘルパー本人の人格を全否定するような言葉を投げつける。
かおりの親が居合わせた時にその暴言を聞いたが、耳を塞ぎたくなるような
内容だったという。
家事への不満も、ちょっとゆで卵が固い(好みの硬さはその日によって違う)
皿を置く向きが、と些細なことに及ぶ。それが毎回なのでヘルパーも大変だ。
たまに気に入ったヘルパーがいると、その人の事を引き合いに出して「○○さんに比べてあんたは!」という角度で責められる。
和夫さんのクレームが原因で実に5人のヘルパーが精神を病み事業所を辞めたという。さすがにかおりやかおりの親(=和夫さんの娘)も和夫さんをたしなめるが、一向に改まる気配はない。
事業所を変え、ヘルパーを何度も交代し辛うじて在宅は継続されている。
和夫さんは認知症の症状も見え始め、施設入所を考え始めているという。