そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

作業療法2+患者図鑑14 片付けをしない津島さん

習字

作業療法1」でお習字がある事を書いた。

 

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私は元々学校での習字の時間は大嫌いで、悪筆なのだが「作業療法は出来不出来を

評価する場所ではありませんよ」「墨を摺って習字をするのは気持ちが落ち着きますよ」と作業療法士の先生に薦められ、習字に行き始めた。

習字の先生は、なかなか有名な方らしく、全くのボランティアで作業療法に協力

されているとの事。

自分が書きたい字、例えば「七夕」「海」を練習してみたいと言えば、そのお手本を

書いて下さり各自練習する。前項で書いたように、作業療法自体は一時間半取ってあるが、一枚だけ書いて(または書ききらなくても良い)退室してもかまわないし、時間目いっぱい何枚も書いても良い。先生には見せても見せなくても、どちらでも良い。見せてどこを直せばよいでしょうかと聞けば、朱を入れて直してくれるがここは飽くまで

療法室であり、お習字教室ではないので書けた事自体を褒めてくれる。

だいたい、参加するメンバーは決まっていたのだが、その中の一人津島(仮名)さん

のある決まった行動が目に留まるようになった。

津島さんは年配の女性で(言い忘れたが、作業療法は男女とも参加できるので、基本的に生活空間が性別で分かれている病棟において数少ない同席出来る場所だった)

とても達筆だった。

習字の日は、各自文鎮や硯、墨、半紙、水入れといったものを戸棚から出し、新聞紙を引いて用意をする。そして先生のお手本を基に書く。終わったら出来上がったものは持ち帰り(破棄したい人は破棄してもいい)、使用した道具は洗って所定の場所に片づけてから退室する。

しかし、津島さんは書きあがると後片付けをせず、道具はそのままで去ろうとするのだ。それが毎回毎回だ。習字の時間は、基本習字の先生が担当だが、時々作業療法

先生も様子を見に来る。

津島さんが道具を置きっぱなしで帰ろうとした時、作業療法の都先生が顔を出した。

「津島さん、道具は片づけてからお部屋に帰りましょうね」

「何だかちょっと具合が悪いのよ。もう帰るわ」津島さんはさっさと部屋を後にしてしまった。

また別の日にも、使った道具をそのままにして帰ろうとした津島さんを捕まえ、都先生が道具を片づけるよう言うと、また調子が悪いと言い訳が始まる。

要するに、津島さんは片付けが面倒なのだ。なので何かと口実をつけてやりっぱなしで帰ろうとするのだ。

津島さんは片付けが出来ない程具合が悪そうには見えないし、面倒でも自分が使った

ものの始末までするのが作業療法的にも正解なのだろう。

辛抱強く都先生に説得され、渋々津島さんは硯を洗い始めた。しかしそれからも、

津島さんは作業療法士の目を盗んでは片付けを放置するのを続けていた。