そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

患者図鑑20 浜谷さんの生きがい2

許さない

一つ目の話。入院して間もない人(仮に平田さんとする)が浜谷さんの生きがいを知らず、昼の時間帯にワイドショーだったか、別の番組にチャンネルを合わせていた。

昼食後、浜谷さんは一旦自室に戻り、12:45に間に合うように現れる。連続テレビ小説が始まるまでは誰が何を見ていようと浜谷さんは文句を言わない。で、暗黙の了解で時間になると皆チャンネル権を浜谷さんに渡す。

浜谷さんは、てっきり平田さんが45分になればNHKに変えると思っていたようだ。そんな浜谷さんルールをしらない平田さんはワイドショーを見続けた。浜谷さんに取って、連続テレビ小説を見逃すなどあってはならない事なのだ。烈火のごとく怒る… ではなく慌てふためいて、リモコンを奪い取り「NHK、NHK」と焦りながらチャンネルを変えた。そして見終わってから平田さんにおもむろに説教をしたと言うことだ。

 

二つ目。食堂のテレビは、食事が終わるまでつけてはいけないルールだ。

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上記の記事のように、連続テレビ小説の始まる時間にたいてい皆食事を終えているのだが、ある時一人の患者さん(仮に辺見さんとする)が寝坊し、朝食の席に着くのが遅かった。眠いのかゆったりゆったり箸を進めている。あと数分で番組が始まるというのに、辺見さんはまだ1/3ほどしか食べ終わっていない。

浜谷さんはスタンバイして、明らかにイライラしていたが、8:13になってついに辺見さんに対して「あのね!私15分からテレビ見るんだから!ご飯食べてられるとテレビつけらんないのよ!」とびっくりするような大声で怒鳴り出した。

規則では、体調が悪い等の場合も鑑み、食事開始時間から一時間は食事を保管しておくことになっている。なので辺見さんが8;15に食事を取っているのは十分許容範囲なのだ。浜谷さんの生きがいを脅かすことを除いては。

談話室にもテレビはあるのだが、病室から遠い事と、食堂のそれに加え小さい事もあって浜谷さんはよほどの事がない限り、いつも決まった席で食堂のテレビで連続テレビ小説を見る事を日課にしていた。

辺見さんは泰然自若、浜谷さんの怒号を聞き流し朝食を食べ続けている。一発触発になった時に看護師が割って入ってくれて、辺見さんがまだ食事中なのでテレビはつけられない、談話室で見て下さい、と説得した。

浜谷さんは、看護師に反駁しているうちに番組が始まってしまうので、そそくさと談話室に移動していった。

 

もう一つは、食堂でちょっとした工事があり、危険なので工事関係者以外立ち入り

禁止の時間帯が出来た。それが連続テレビ小説の放映時間に当たってしまった。

かつ、運の悪い事にもう一つの談話室のテレビの調子が悪かった。

看護師さんは浜谷さんの連続テレビ小説愛を十分承知していたが、工事で食堂に入れないのは仕方がない事だし、談話室のテレビも故障しているけれどここは我慢して

貰わないと、と予め説明していた。

浜谷さんは朝の放送は無事見れたのだけれど、昼は12:30~食堂立ち入り禁止になった(その日は昼飯が供される時間が少し早めになった)。テレビを見られない理由を聞かされていたにもかかわらず、浜谷さんは番組の始まる時間になると、食堂に入ろうとする。立ち入り禁止のテープが張られていたのに、それをちぎって侵入しようとするのだ。当然工事の人も困るし、看護師も止める。安全上、どうしても浜谷さんを入れる事は許可できないと看護師が毅然とした態度を取り、浜谷さんも最後にはため息をつきながら諦めた。その時、浜谷さんと同室で仲良しの福原(仮名)さんが「連続テレビ小説は浜ちゃん(=浜谷さんの事)の生きがいだからねぇ」とつぶやいたのがタイトルの由来である。