そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

今週のお題「人生最大のピンチ」その2 生命の危機!?

今週のお題「人生最大のピンチ」その2

前回はあわや就活全滅??無職の危機だったが、今回の話の方が命にかかわる

のでピンチ度は高いかもしれない。

 

社会人になってから休みを取って友人と海外旅行をした。行き先は某アジアの発展途上国。事前にガイドブック等で下調べし、衛生面に細心の注意を払わなくてはいけない事を知った。生水、生ものは厳禁。水道水は汚染されているので、歯磨きにもミネラルウォーターを使う事。赤痢チフスも珍しくはないという。

念のため胃腸薬も用意し、注意事項を頭の中に入れて(入れたつもり)旅に出た。

発展途上国への旅行は初めてで、見聞きする物すべてが新鮮で刺激的だった。

衛生も友人と注意し合い、必ずちゃんとした店(屋台などでなく)で火を通した物を

注文するようにしていた。

ところが魔が差したというのだろうか、気温が高いある日入ったレストランで私は

「いちご入りミルク」を注文してしまった。いちごと牛乳の組み合わせは元々大好物。暑くて喉が渇いていたその時は一層魅力的に見えた。

 

その晩私は熱を出した。お腹が痛く、嘔吐・下痢が止まらない。持参した胃腸薬や解熱剤を飲むが全然効かない。一晩寝れば、と思ったが翌朝熱は40.1度だった。こんな高い熱は今まで出した事がない。嘔吐下痢も止まらず、かろうじて水分(勿論ミネラルウォーター)が喉を通るが、飲み込んでもすぐに吐いてしまう。熱はさらに40.3度まで上がった。朦朧としてきて、友達の問いかけにも、もごもごと明確に答えられない。

心配した友達が泊まっていた安ゲストハウスのスタッフに相談した。

その国は現地語以外通じにくい国で、しかも私たちは田舎町に泊まっていたのでさらに英語など話せる人がいない。必死に身振り手振りで連れが不調な事を伝えると、「ドクター」を呼んでくれる事になった。

 

さて、「ドクター」が現れた。白衣も来ていないし聴診器も持っていないし、どうみても普通のその辺のおじさんだ。「ドクター」もほんの片言の英語しか話さないので、コミュニケーションに苦労した、体温計を見せたり、吐く真似を見せたりして必死に症状を説明した。「ドクター」はうなずいて、後から「メディスン」をゲストハウスに届けるから、一日二錠、朝夕飲みなさいと言って帰って行った。

ほどなく「メディスン」が届けられるが、銀の包装紙に包まれて、読めない現地

語が書いてある。包装紙は何となく埃っぽく古びている。

友達が「これって何の薬かなぁ。大丈夫かなぁ」と心配顔だ。でも躊躇っている間にも

また熱があがり人生最高体温を更新していく。

「現地の病気は、現地の薬でしか治らないかも」と自分を納得させて薬を飲むことにした。包装紙の中身は薄茶の錠剤で、気のせいかちょっと不気味に見える。でもこのまま

だと病気は良くなりそうにない。とは言え、あやしいドクターが処方したこの得体のしれない薬を飲んだら別の意味で危ないかもしれない。進むも地獄、退くも地獄。

もしかしたらこの地で儚くなるかも… と覚悟して賭けの気持ちで薬を飲んだ。

二日続けて、計四回薬を飲んだらようやく熱が下がり症状がおさまり始めた。

段々物も食べられるようになり、観光を再開できるまで回復した。

思い返すといちごミルクに氷が入っていた。氷が汚染された水で作られていたのだと思う。

ドクターの薬で良くなったのか、出すものを出したから良くなったのか分からないけれどともかく異国の地で果てる自分を予想した、人生のピンチであった。

薬