患者図鑑66 友達の作り方8 ーペンフレンド??ー
患者友達は必要か、というと時期と相手によっては必要な存在だった。
つまり、こちらが人と交われる余裕のある時期にストレスを感じない相手。
患者歴の長い人には、色々制度の事や病気との付き合い方を教えて貰ったし、
家族以外には自分の病気の事を話していない私にとって、あけすけに病気に
ついて打ち明けられる場は気持ちを軽くしてくれた。たわいない話もまた楽しかった。
しかし、ただでさえ人間関係は難しいのにメンタルに問題を抱えている人が集まっているのだから、距離の取り方は難しかった。こちらが一定の場所にいるとしても
あちらの精神状態の都合で異様に近づかれたり、また距離をおかれたりする。
ちょっとした言葉の端々に過敏であると思えば、自らは無神経な言葉を吐いたりする。 それでも孤独でいるよりはよかった。
退院してからも何人かとは付き合いが続いている。
一人は入院中はとても良好な関係だったのだが、そして退院してからも食事など行っていたのだが、ある時期から明らかにマルチ商法と思われるものにはまった。そしてのべつまくなしに勧誘して来るので(対象は私だけでなかったようだが)着信拒否にしてしまった。
もう一人は私より一回りは上なのだが、とても音楽(聴く方)が好きで、私と
好きなアーティストがかぶっていた事から退院後も連絡を取り合った。
一緒にコンサートも行った。彼女は礼儀正しく穏やかな人であるが、ただ一つ困って
いるのが「手紙魔」な事だ。手紙を貰うのは嫌ではない。けれど彼女の場合、自分の日常を日記のように書いてくる。月に二回封書が来るのだが「1日はコンビニで食事を買いに行ったほかは自宅に居ました。2日は朝のニュースをつけてから洗濯し…」と報告がある。便箋にして優に6,7枚になるのだが、一向に内容に興味を持てない。
かと言って分厚い封書にそのまま返事をしないのも気が咎め、申し訳程度にはがきに
受け取った旨返事を書いて投函している。