患者図鑑90 病院食グルメ1 食パンのおいしい食べ方
他の病院食の例にもれず、B病院でも食事はおいしくはない。そして、一種類のみで選択の用地は無い。
これも何度か書いてきたが、消化器などの疾患ではないので、皆食欲旺盛だった。そしておいしくはなくとも、食事は入院生活の中で楽しみなイベントの一つだった。
朝食は大抵が食パン。食パン二枚におかずがついてくる。パンなのにきんぴらのような和風のおかずがついてくることがあるのが可笑しい。
食パンはそのまま食べられる状態なのだが、焼きたい人のためにトースターが用意されいた。オーブントースターでなく、焼きあがるとパンが跳ね上がってくる縦型のものである。壷井さんはパンの焼き具合にうるさい人だった。壷井さんいわく、冷たいパンなんて到底食べられないが、焦げ目のついたものも嫌。あたたまっているけれど、焦げ目一つついていない状態でないと満足できないのだそうだ。病院備え付けのトースターに任せておいたら、こんがりと焼けてしまう。壷井さんは、毎朝食時、パンをトースターに入れたあと、焼き具合に集中してトースターの脇に仁王立ちしている。何十秒と最適の時間があるそうで、その時間になるとさっと取り出していた。
ご飯(米)用にふりかけを自分で用意する人は多い。確かに小分けにしたふりかけは便利で、私も味の違うものの詰め合わせを持っていた。ちなみに、入院友達から奨められ
たのは「永谷園 おとなのふりかけ」であった。
(文中は全て仮名・仮称です)