専門家たちの意見2
前回の記事で、
脳のメカニズムはまだ良く分かっていない事、よって精神疾患の仕組みも多くは仮説の下である事を書いた。
脳の仕組みについて面白い(と言っては不謹慎かもしれない)話を聞いたので紹介したい。
袴田さんは50代の主婦。寡黙で大人しく、集まりでも部屋の片隅でずっとうつむいているタイプの人だった。
ところがある日脳出血になり入院。手術などの手当をして、無事退院したのだが、その後性格が一変してしまったのだという。
明るく、多弁で冗談を飛ばす。部屋の片隅どころか真ん中に陣取り、話題を振りまく人に豹変した。
漫画の「美味しんぼ」だったろうか、やはり脳疾患を患った老人が頑固で疑い深い人間になってしまい、家族が憔悴する話があった。(いつものパターンで山岡さんの料理で解決するのだが)それは良くないパターンだが、明るく快活な人になる事もあるのだと驚いた。
彼女は人気者になり、いつも周りに人が集まって来て笑い声が絶えなくなったという。80になった時、別の病気で亡くなったが亡くなるまで明るい人柄が続いたそうだ。
出血や手術という要因が加わった事で50年間続いた性格ががらっと変わり、死ぬまで続くとは。脳の仕組みは本当に不可思議だ。何となく精神疾患や、脳疾患はネガティブな印象が強い。暗くなる、落ち込む、引きこもる、悩む。袴田さんのように明朗快活な人間になるのなら、悪くない。元々袴田さんの中にそういう要素があって、病気をきっかけに引き出されたのか。
人間は簡単には変われない。だから宗教に救いを求めたり、哲学書を読んだり、自己啓発に走ったりするのだがいとも簡単に文字通り「人が変わった」一例である。
(文中は全て仮名・仮称です)