患者図鑑113 お母さん1
前回のタイトル、「マンマ・ミーア」
はABBAのヒット曲のタイトルでもあり、それをもとにしたブロードウェイミュージカルの題名でもある。
「マンマ・ミーア」「驚いた時の言葉」だそうだが、直訳すれば「私のお母さん」=おふくろさん。
前回の話のBGMをつけるとすれば、ABBAの「マンマ・ミア」か、「オーソレミオ」(すみません、私の中のイタリア代表曲はこれなんです)だが、今回の話は森進一「おふくろさん」か、童謡「おかあさん」(おかあさん なぁに おかあさんっていいにおい♪)だろうか。
マンマ・ミーアを連発する明石さんは、単に驚きの言葉として使っていただけで、その中に「お母さん」の要素は全く感じられなかった。飽くまで「びーっくり!」を表現する言葉であった。
しかし50代半ばを過ぎていると思われる石塚さんは、頻繁に「お母さん」を純粋にお母さんを指す意味で口にしていた。
「私のお母さんがね」というお母さんにまつわる話に始まり
「私のお母さんだったらそんな事はしない」
「お母さんが言ってたの」
石塚さんが自分から発する言葉の殆どに「お母さん」のフレーズが含まれていた。
石塚さんにとってお母さんが大切で重要な存在なのは間違いない。しかし、お母さんが石塚さんをお見舞いに来た事は一度も無かったので、その姿を見る事は無かった。しかし話の内容から故人ではない事は察せられた。
(文中は全て仮名・仮称です)