今週のお題「わたし○○部でした」2 料理部という名の
今週のお題「わたし○○部でした」パート2
授業が終わって、いそいそとユニフォームに着替えたりグラウンドにいそぐクラスメートを尻目に帰るのはちょっと悲しいものがあった。楽しい高校生活の大事な一面として部活がある、と受験勉強中に夢見ていたのに。
ちょっと鬱屈しながら帰宅部に属していた私に、違うクラスのかおりが声をかけてくれた。かおりはクラスは違うのだが、私と同じ中学出身だった。
「ねぇ、友泉部活入ってないの?」
「うん、そうだよ。テニス入ってたけど、ついて行けなくてさ。辞めちゃった。だから
今は帰宅部(笑)」と、かおりにテニス部で挫折した経緯を話した。
「そうなんだ。うちのクラスのえみとかりえとか、テニス部だけど中学からバリバリやってた口だもんね。友泉がやってくのは大変だったかもね」
うん、その通り。うなずくしかない。
「でも帰宅部ってさみしくない?」
さみしいよ。
「私料理部入ってるの。のりこやゆきえもいるよ!友泉も入りなよ」
えー-っ 確かに帰宅部を卒業まで続けるのは空しいけれど、食べるのは好きだけど料理は正直あまりやった事がない。
「大丈夫大丈夫!みんなそうだよ。実はね」
とかおりは声を潜めた。今部員は10名くらい。うち3名は幽霊部員。残る7名のうち、2名ほどが料理をし、あとの5名(かおり含む。のりことゆきえも)は「食べる専門」だそうだ。
「そんなの、ありー-?」
と思わず吹き出すと、かおりは涼しい顔で
「ありあり、大ありよ。ていうか、うちの高校の料理部の伝統ってそんなもんらしいよ。私が一年の時にこんなんでいいのかって思ってたら、こんなんでいいのよ、と三年の先輩が言ってたもん。料理担当の2人が休みとか、作りたくなーいって言う時は適当にお菓子買ってきてだべったりさ。料理部は作らなくてもいいんだよ。料理を【食べる】料理について【話す】も立派な部活動のうち!」悪びれず言い放った。