そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

今週のお題「人生変わった瞬間」3

愛

今週のお題「人生変わった瞬間」ー今のわたしを作ったアレ

 

近江の生涯や書の歴史における近江の立ち位置など研究しようと意気込んで国文科に入ったものの、ついぞそれは果たされる事がなかった。自分の能力不足の一言につきる。国文科の授業の一部に全く興味が持てなかった事もあるし、また言い訳をさせて貰えば在学中に5月病ならぬ6月病になったりして、

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出足で調子を崩し出遅れた事もある。

 

とは言え、その後も近江との縁が切れる事はなかった。ここまで読んで下さった方にはお分かりだと思うが、私は近江を好きになってしまっていた。恋をしてしまっていたのである。

なので、それ以降も近江の作品が展示されていると聞けば遠方かまわず観に行った。近江の名前だけちらっと出てくる古書や専門書を買い集めた。近江の出身地ー と言っても所縁のものは何も残っていないのであるがー や、京都で彼の師匠が住んでいた場所を訪ねた。

ともかく分かっている事が少ない人なので、どんなに突き詰めて行っても結局は曖昧模糊としか結果を得られない。もどかしい思いをしながらも、やはり私は近江から離れられず今に至っている。

その道の第一人者になったりそれで生計を立てて行くようになった訳ではない。何にも結果を出してはいないが、私が近江にほれ込んで、そして今でもほれ込み続けているのだけは確かだ。近江は私が生まれる何百年前に亡くなって、血縁でもなんでもないどころか顔も分からない。そんな人なのに、私の人生は彼の影響でちょっと方向転換をしてしまった。

しかし近江を好きになった事で得られたものもある。出身地、a県b市にたびたび足を運んだせいか、そちらに親しい知人が出来た。私はブログに書いているように双極性障害(そううつ病)もちなのだが、入院中に近江の書(もちろんコピー)を枕元に貼っておくと何故か安心できた。

あるスポーツ選手のファンが、「自分が辛い時、苦しい時○○選手ならどうするかな?」と想像して自分の難局を乗り越える と言っていた。私も同じで、今の私よりずっと苦しくて辛かったはずの近江が、どうやってその苦悩のなかであの美しい作品を完成させていったか。そう思って、何度も自分を鼓舞して来た。

 

遠い時代に生まれた、顔も知らない近江道成。あなたのお蔭で人生変わりました。