失って来たもの

歯が痛い。歯医者に行ったところ、上の奥歯を抜かなくてはならないかもしれないと言う。

今まで二本抜いたので、これで三本目だ。今回を含め、歯・歯茎の悪化は全て心当たりがある。精神の状態が悪く、歯磨きが出来ないことが続いた結果、そういう事態になったのだ。歯科医には、メンタルの病気の事は言っていないので、単に歯磨きをさぼったと思われているのだろうか。

前にも書いたが、私はうつが酷くなると歯磨きや洗顔、風呂や着替えも全くできなくなる。かろうじて行うのは食べる事と排泄。トイレに行く事だ。そんな状態では歯の状態は悪くならざるを得ない。

初めて歯を抜く事になった時、抜けた歯をケースに入れて渡してくれた。帰宅してから、ケースから取り出して歯をしみじみと見た。子供の頃、抜けた乳歯を見るのは楽しかったが、自分の手入れ不足で抜けてしまったー死んでしまった歯を見るのは悲しかった。鬱の犠牲になって、鬱の為に死体になってしまった歯。今までずっと食べ物を咀嚼して、私に栄養を送るのを助けてくれていたのに、自分の精神の不調の為にもう用をなさない、ただのかけらになってしまった。

歯はとても分かりやすい形で鬱由来で私が失ってしまったけれど、他にも有形無形で病気の為に私が失った物は多いと思う。いちいち取り上げて後悔してもどうにもならないし、悲しくなるだけなので詳らかにしようとは思わないけれど。

メンタルの病気を患う人の寿命は、一般の人の寿命に比べて短いと言う。ストレス、不規則な生活、偏った栄養、運動不足、検診や受診を十分に行わない場合もあるだろう。長期にわたる向精神薬服用も健康に良いとは到底言えないだろう。

その他にも対人関係、諸々のチャンスや機会…　辛くなるのこの辺でやめておく。