そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

病院での正月ー 産婦人科編3

前回からの続きです。

utuutuyasuyasu.hatenablog.com  

面積に正確を期したら同じにはならないだろうが、感覚的には学校のがらー-んとした体育館にただ一人寝ている。そんな感じだった。

トイレや洗面所は共用で病室外に出るのだが、廊下もトイレも洗面所も… 人っ子一人いない。自分のスリッパの音が響いて、自分の影が壁にうつるばかり。

ナースステーションに当直の看護師はいるはずであるが、気配も感じる事が出来ない。

何だか世界の中で自分一人が取り残されてしまったような、「孤独」の一言では言い表せなかった。「虚無」という言葉があたっているかもしれない。

ベッドにもどってテレビをつけても、「もうすぐお正月ですよー--」という新年を迎えるテンションが何だか寒々しく、空々しく聞こえる。一緒に盛り上がる気持ちには到底なれない。

消灯時間が来て、「大丈夫ー?もし淋しくなったらナースコールでもなんでもしてね」と運悪く大晦日当直になった看護師が声をかけて、電気を消して去って行く。

いつもなら、部屋の中の人と消灯後も話したり、話さなくても人のいる気配がしたのでなんとなく安心したけれど。ぞっとするほど静かで物音ひとつしない。

今まで一度も考えた事がなかった「病院の怪談」が初めて頭をよぎった。別に具体的にいわくがあったり、言い伝えられている話があるわけではないのだが、どうも余計な、ネガティブな事を考えてしまう。

私はほんの子供の頃を除けば、新年0時は起きて迎えるのが恒例だった。しかしこの時は0時まで起きている気がせず、いつの間にか眠りに入り、しかしぐっすり寝たというのでもなくいつの間か元旦の朝になっていた。

 

「おはようー。あけましておめでとう?良く寝れた?」当直の看護師さんが朝食を持ってきた。「これ、お正月料理… なのかな?ちょっとねぇ」と苦笑している。

お膳をみるとまさに「正月料理??」としか形容のしようがない品が乗っている。

 

一つだけお正月らしい事ができた。トイレの窓から、近くにある神社の社殿の後ろ側が見えるのだ。普通は正面からお願いするよね、と思いながら背後からお願いする。

病院の中から、しかも社殿の背後からお参りをしたのも最初で最後だ。

その時のお願いは、妊娠高血圧症候群を乗り切って無事出産できますように。

そのお願いは、有難い事に叶えて頂いた。

 

私が病院で越年したのはこの産婦人科と前に書いた精神科

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との二回になるが、一口に「病院でお正月」と言ってもだいぶ色合いの違うものであった。

初詣