退院後の生活2 クレジットカードの限度額
私は相当舞い上がっていたのだろう。駅の階段で足を踏みはずし、左足を酷く捻挫した。松葉杖をつかないと歩けない程だった。結果的にこの怪我は寧ろ自分に取っては吉だったのだが。
ちょうど怪我をして外に出かける事が出来なくなった頃、夫が厳しい顔をして口を開いた。
「ちょっと、クレジットカードの請求が来たんだけれど幾ら使ったか分かってる?」
もともと買い物にいくつもりではなく、出かけたついでに覗いた店でショッピングをすることが度々あった。現金を十分に用意していないので、クレジットカードで払う。
そんなことを繰り返していた。
「限度額までいってるよ」
私は今までもクレジットで払うことはあったが、限度額まで行く事はなかった。10万も行かないくらいだった。確かに買い物をしている自覚はあったが限度額まで行っているとは思わなかった。現金で購入したものもあるので、合計すればかなりの額になっていたのだ。
「何買ったの?」
買ったのは私の身の回りのものだ。服、アクセサリー、化粧品、置物… 元々が
貧乏性なので、一つ何十万するものは手が出ない。しかし、多くの品をちょこちょこと買っているうちに、いつの間にかかなりの額になっていた。
「これとこれと… あれとそれ。でも、この置物は名人が作った○○県の特産品なの。
この化粧品は××という成分が入っていて○○の効果が高くって…」
私の中ではどの品も、気に入って、買う根拠があって購入したものだった。それを一つ一つ夫に説明したのだが、夫はあきれ顔だった。