今週のお題「手づくり」4
今週のお題「手づくり」
前回の続き
レシピ本の著者の中には亡くなった方も多い。天寿を全うした人もいれば、孤独死したり若くして亡くなった方もいる。
エッセイスト・編集者の三宅菊子さんは自分でズボラで手抜きと公言してレシピ本を出していた。簡単で細かい事にこだわらないレシピが好きで、今でも彼女の本をもとに作る事が多い。
ある時、web記事で自宅で一人で亡くなっている事を発見された旨目にした時はちょっと胸の詰まる思いがした。レシピの説明文から見る彼女は、豪快で明るくて、夫とも仲良しで。
料理研究家だと小林カツ代さんの本が多い。手間がかからず美味しい。でも、小林さんもクモ膜下出血からずっと療養生活が続いて、ある記事によるとケンタロウさんの事故やその後も知らされぬままこの世を去ったそうだ。
でも、視点を変えると彼女たちが発信したレシピは彼女たちが亡くなってからも作り続けられ、食卓に並べられ、継承されていく。
佐藤健主演ドラマ「天皇の料理番」中に、主人公の秋山だったかエスコフィエだったか「料理は芸術だけれど、(食べられてしまうので)残らない」という主旨のセリフがあった。
確かに料理は食べて貰う事が目的。消費されてこそ価値があるから、例えば曲や絵画のようには残らない。
でも、日々どこかの台所で調理されてそこの家の人のお腹を満たしていればそれはとても価値がある事だし、
料理とはそんな意味のあるクリエイティブな行為なのだ、と自分を鼓舞してみるのであった。