そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

今週のお題「人生で一番高い買い物」その1 ー花嫁のかんざしー

今週のお題「人生で一番高い買い物」

元々、大してお金を持ってないので高い買い物と言ってもその機会がない。

でも、このお題を見て●十年前の自分の結婚式を思い出した。

正確には「買い物」ではなく、「レンタル料」なのだが。

和装(打掛)と洋装(ウェディングドレス)を両方着る事に決めて

ホテルで衣装合わせをした。選ぶのには時間がかかるので「和装を決める日」と

「洋装を決める日」、二日間確保した。

和装の日、まず打掛を決め、次にかつらを決めた。

かつらの後は髪飾り、かんざしだ。色とりどりのかんざしが箱に入れられて持って来られた。

かつらに当ててみたり、刺して見比べる。これは「○○円で、こちらは✕✕円で」

気が付くと3人の女性に取り囲まれていた。

「これ!これ素敵ですよ!べっこうに金、パールも入っているんですよ」

と、あるかんざしを熱心にすすめてきた。

確かレンタルで10万くらいだったと思う。

もちろんもっと安いものがたくさんあって、それも綺麗なのだが

「せっかくのお式ですからねぇ。本物をつけないと、ほら、やはり本物は

輝きが違うでしょ?」と3人が顔を寄せて来て口々に言う。

結婚の時は式といい、新生活といいお金がかかる。どうしても気が大きくなってくる。

「一生に一度」「出し惜しみしない」「本物」というキラーワードを前後左右から

囁かれ、逆にこれを選ばないと「ケチな根性で偽物」で彩った結婚式になる

ような不安におそわれた。圧にも負け、「はい、これでいいです」その高いかんざしにゴーサインを出した。

ちょっと高いかも… でもキャンセルすればいいかと自分に言い訳したが

多忙に紛れついにキャンセルする事はなかった。

 

結婚式の日、私は「本物」で「高価」なかんざしをつけ式を挙げた。

しかし、打掛やドレスを褒めてくれる人はいても、誰もかんざしに言及は

しなかった。ブーケや手袋のような小物すら感想を貰ったのに。

あとでビデオや写真を見ても、かんざしはちっとも目立たない。

イミテーションのべっこうやパールでも全くかまわなかったのではないか。

そもそも、かんざしをしげしげとチェックする人がどれだけいるか。

結局はレンタル業者のセールストークに乗せられてしまったのだ。

今結婚式の写真を見ても、本当にかんざしは地味で目立たない。言われないと

目が行かない。

一生に一度の場。本当は納得していなかった自分。値段とがっかり感の反比例。レンタルなので手元に何も残らない。それらを総合すると、人生で一番高い買い物だったのではないかと思う。

花嫁衣裳