2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧
外出から帰ってきた羽田さんが「成果」「戦利品」を得意げに披露するのを 聞く一方であったが、ある時羽田さんが「天誅を下す」のを目の当たりにした。 病院の患者が愛用する、近くにあるRスーパーに utuutuyasuyasu.hatenablog.com ちょっとした物を調達に…
1970年代に「クレーマー クレーマー」という米映画があったようだ。これは ミスタークレーマーとミセスクレーマーの離婚裁判の話らしい。 私はてっきりいわゆる文句をつける人、クレーマーの話だと思っていた(笑) もし、「クレームをつける人」の意で「クレ…
複数で、人目のある所で会うのは全く構わなかったが、人目のない空間で野津さんと 二人きりになるのは不安だった。 そもそも、外出届で行き先に「野津さん宅」と書けば確実に却下されるだろう。 私が外出届について指摘すると、野津さんは「適当に、買い物と…
外出の可・不可は主治医の判断による。不可であれば勿論病院内にいるしかないし、 可であっても出かけない人もいる。 私は初めは様子見で院内にいるように言われたが、そのうち半日外出→一日外出→外泊とステップを踏んでいった。外泊(自宅泊)も、一泊から…
精神科医にも「人間ってそんな教科書通り行かないよ」と思わされた。 三井医師には、良く「安井さんくよくよ悩むものねぇ」と言われた。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com 全く持って事実なのだけれど、じゃあ三井医師はくよくよ悩むことはないのか? 私は病的…
以上が根来さんの家庭事情だが、私もうつに苦しみ始めてから各所で 「机上の空論」を感じ、それに苦しめられて来た。 第二子出産後、うつで二谷医師(産婦人科)を受診し utuutuyasuyasu.hatenablog.com 「最近のお母さんは大人になりきらないで子供産んじゃ…
弟の良介は長男だった事に加え、体も弱かったので殊に大切にされた。 一家5人分の家事をするのは母と久美さん。祖母は足腰が悪いと監視役に徹した。良一氏は勿論、良介も指一つ動かさない。久美さんは家事も頑張ったが、手際が悪い、遅いと始終絶えず祖母か…
「毒親」に悩まされてきたのは検見川さん utuutuyasuyasu.hatenablog.com だけではない。根来さんの場合は、絶望的な喜悲劇だった。 根来さんは父方の祖母、両親、弟との5人家族で育った。父(良一氏)は学者で 母は専業主婦。弟は3歳下だった。 祖母は生ま…
私はB病院の外来に通っていて、そのまま病棟に入院の流れであったが、入院患者すべてがその過程を通って来た訳ではなかった。 寺池さんは、あるクリニックに通っていたが、そこは入院設備がない。病状から入院の必要が生じて、医師同士が知り合いであって紹…
食堂で雑談していた時、「情報通」の島崎さんが「ねえ、W社って知ってるよね?」 と話を振ってきた。勿論、W社は誰もが知る大企業だ。 「男性棟の個室にW社の寺池社長が入院しているんだって」と言う。 私は思わず「えっ」と声を出してしまった。あの有名なW…
コロナ禍の続く中、マスク姿は当たり前になった。しかし、私が入院している頃はそうではなく、病棟内でマスクをしている人は皆無だった。前に書いたように、風邪などに罹患すれば個室に隔離され、咳が出ないように、マスクが必要ない状態になってから解放さ…
今週のお題「冷やし◯◯」 食べ物じゃないんだけど、「頭を冷やせ!!自分!」です。 私は結構カッとする面があって、相手の言動に納得が行かなかったり不満があり、スイッチが入っちゃうと、もうマシンガンの様に相手を撃ちまくります。勿論口でです。 手は出…
入院中に仲良くなった立川さんと千倉さんの共通点は、お二人とも夫を亡くされていた 事だった。それから重度のうつになり、なかなか回復できないのだと言う。 詳細は少し異なっていた。立川さんの場合は急死で、本当に突然の出来事だったのだとか。末娘の結…
病院にいると運動不足になりがちだ。作業療法でも体操のプログラムがあったが 週に一度数時間程度。たまに外部からヨガの先生が来る事もあった。 あとは、広いスペースは屋上だけなので、そこででバレーボールもどきをやっている人がいたり、屋上の塀にそっ…
もう一つ怪談があった。B病院は外来と病棟が完全に分かれている。普段は厚い壁で仕切られ、お互い交流する事はない。 しかし、夜に限っては外来のロビーに非公式に行く事が多めに見られていた。外来のロビーは広く、また待ち時間用に雑誌が何種類かおいてあ…
北野氏の話は古株の二人も知らなかった。かなり前の事でもあるし、病死であれ自死であれ、出来るだけ他患者へは知らせないようにするものだろう。 ところで、自殺現場の「角のトイレ」では怪異体験は私もなかったし、他患者もなかったが、「あそこはおかしい…
小谷さんは、ご両親などのサポートもあり、精神的に大分持ち直して退院していった。 明るい顔で「離婚、成立しそうです!」と報告に来てくれた。 怪談の本題に戻ろう。自殺の話を出したのは、患者同士で雑談している時に、 何度もB病院に入退院を繰り返して…
前回、北野氏の死因としてまず自殺を疑ったと書いたが、精神科在院患者の死因第一位は自殺というデータがある。 www.jstage.jst.go.jp 入院仲間でも自殺を試みた人は何人もいたし、入院中も一度自殺未遂があった。小谷さんという30代の女性だが、夫との不仲…
気がついたら、記事数200超えてました\(^o^)/ 読んで下さる、来訪して下さる皆様のお蔭です。本当に有難うございます。 今回、暑いので怪談… という訳でもないのですが… 入院中、何気なく「B病院」で検索をしていたら「北野孝 B病院にて死去」 という記事…
入院していた精神病院、B病院には図書コーナーがあった。と書くと、ミニ図書館のようだがそんなに大層なものではない。ようは入院患者が不要になった本を残して行ったものが、まとめて置いてあるだけだ。なので、ベストセラーになったような本ならば複数冊あ…
男子棟女子棟分かれているが、その間に談話室があり、そこは男女とも利用する事が出来た。面会者も病室のあるエリアまでは入れないので、ここで患者と面会する。 談話室にはソファ、テレビ、新聞が置かれていた。新聞は全国紙で毎日朝に当日の 物に変えられ…
患者が時間をつぶすのは「食堂」「談話室」「屋上」の三か所なのだが、 沢口さんという男性患者は、特別?な場所を許されていた。 病棟の裏のちょっとしたスペースがそこで、沢口さんがそこにいることは 彼の朗々とした歌声から知る事ができた。 沢口さんは…
榎さんの貴重品を手離さない話で思い出した。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com 持ち歩きで言えば、もっと有名人がいた。倉石さんという男性患者だ。 男女で棟が分かれているので、倉石さんを見かける事はあまりになかった。 作業療法室でごくたまに、また屋上…
今週のお題「人生最大のピンチ」その2 前回はあわや就活全滅??無職の危機だったが、今回の話の方が命にかかわる のでピンチ度は高いかもしれない。 社会人になってから休みを取って友人と海外旅行をした。行き先は某アジアの発展途上国。事前にガイドブッ…
患者図鑑はちょっとお休みして、今週のお題「人生最大のピンチ」 私の大学生の時の就活の話である。 大学四年生になり(当時は四年から就活というゆっくりペースだった) 就職活動を始めた。昭和は、女子は現役・自宅からでないとかなり不利という時代。 私…
屋上は男女ともに出入り出来、そこで談笑したり、ぼーっとしたり、いつも男女共に人がいる。 私は一応気を使い、下着類は見えない様、バスタオルの裏に干すとか、小物干しでぐるっとタオルを周りを囲んで干していた。 しかし中には堂々とショーツやブラジャ…
各フロアに一台ずつ(男子棟に一台、女子棟に一台)洗濯機があり、各自洗濯が出来るようになっていた。 中には家族に洗濯物を持ち帰って貰っている患者もいたが、自ら行っている人の方が多かった。 洗濯機を回せるのは、起床時間から消灯時間の間。洗濯機の…
病室の床頭台には小さいセーフティーボックスがついていた。前の記事でも書いてきたがB病院は解放病棟で、主治医の許可さえあれば自由に外出・外泊出来たので、お金も必要なので手元においておく必要がある。各自セーフティーボックスで自己管理する事になっ…
池野さんに「安井さん、湯船入ってる?」と聞かれた。「うん、毎回じゃないけど入ってるよ」と答えた。 「お勧めできないな。私は入ってないよ。それと足ふきマット気を付けて」と池野さんは言った。タオル等は各自用意する事になっていたが、唯一浴室から更…
渡辺さんは双極性障害1型で入退院を繰り返している人だ。躁状態の時には 毎日のお風呂をとても楽しみにし、「A浴室が一杯で、Bになっちゃったー」 (A浴室の方がB浴室より若干広いので人気があった)「朝一の枠が取れたわ!」 など、良くはしゃいで話してい…