そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

患者図鑑100 病院の中心で、愛をさけぶ2

前回からの続き。ゆうじさんと横内さんは幾度となくメッセージをやり取りし、 親密になっていった。 何となくいい感じのやり取りも出て来て、ゆうじさんとの関係を壊したくなくて 横内さんは自分の病名を言えなかった。 「何の病気なの?心配だな」「うん…ち…

患者図鑑99 病院の中心で、愛をさけぶ1

こうやってブログを書いていると、色々な患者の事がふっと思い出される。今回はたまたま思い出した横内さんという女性患者について書く。 入院患者、上杉さんがフェイク設定で男性から人気を集め色々やり取りをしていた話は以前書いた。 utuutuyasuyasu.hate…

患者図鑑98 (言わなくてもよい)行動宣言

初老男性の弓月さんとは時々談話室で顔を合わせた。 談話室へ行って、弓月さんの姿を見かけると少し憂鬱な気分になる。 弓月さんは、いちいち自分がこれからしようとする事、感じる事を大声で 口にするのだ。例えば 「大便がしたくなった!大便に行ってくる…

患者図鑑97 病院グルメ3 オリジナル料理

病院グルメパート3。刑務所の食事は、おかずの交換が禁止だそうだがB病院ではそういう決まりはなく、食べきれないものや嫌いなものを他の人とのやりとりは自由だった。時々出されるジョアのブルーベリー味を免田さんはこよなく愛していた。それを知ってジョ…

患者図鑑96 病院グルメ2  病院食を美味しく食べる

少し間が空いてしまったが、病院食グルメの続き。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com 上記記事では食パンの焼き方にこだわる壷井さんの話だったが、入院生活の数少ない楽しみ、食事時間を少しでも充実させようと工夫する人は少なくない。 グルメ1にも書いたが…

患者図鑑95 親の死に目

星さんの自己紹介によると、四国出身。大学進学時に上京し、就職したが 段々と心のバランスが崩れて来て精神科を受診。病状ははかばかしくなく 入退院を繰り返して今に至るとの事だった。 星さんは故郷のX県には長年帰っていないという。両親を始め、兄弟や…

患者図鑑94 抜毛症ー福本さんの帽子ー

今日電車に乗っていたら、向かいの席にとてもおしゃれな帽子を被った女性が座っていた。凝った帽子を見ていたら、ふとB病院で一緒だった福本さんを思い出した。 患者は病棟内で過ごすことが多いので、ルームウェアにスリッパが一般的だった。その中で一人、…

患者図鑑93 岸壁の母

「岸壁の母」とは、Wikipediaによれば第二次世界大戦、ソ連(当時)による抑留から解放され、引揚船で帰ってくる息子の帰りを待つ母親をマスコミ等が取り上げた呼称。その一人である端野いせをモデルとして流行歌(1954年など)、映画作品のタイトルともなっ…

専門家たちの意見2

前回の記事で、 utuutuyasuyasu.hatenablog.com 脳のメカニズムはまだ良く分かっていない事、よって精神疾患の仕組みも多くは仮説の下である事を書いた。 脳の仕組みについて面白い(と言っては不謹慎かもしれない)話を聞いたので紹介したい。 袴田さんは50…

専門家たちの意見1

専門家たちの精神疾患に対する捉え方、意見にちょっと思う所があったのでご紹介。 この記事を書こうと思ったきっかけは、温川さんという生物学の研究者から、 (温川さんは私が精神疾患を患っている事を知らない)、「脳の仕組みはまだ解明途中。分かってい…

デンタルケアと鬱

先日歯医者に行ったら、前からぐらついていた奥歯がもう寿命なので抜かなくてはいけない。両脇の葉が幸い無事なので、ブリッジをかけると言われた。ちょっとショックである。歯茎ポケットも相当深くなっている箇所があり、要注意と指摘された。 思い当たる節…

患者図鑑92 待合室のお茶会

私がB病院のA病院にかかっていた頃の話である。 有名な総合病院であるA病院では精神科は隅に追いやられた日陰の存在で有る事は 前に記事に書いた。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com しかし、その精神科において一人話題の人気医師がいた(私の主治医ではない(…

患者図鑑91 人間計量器

豊平さん、推定40代の女性は摂食障害のようだった。他の疾患も持っているのかもしれないが、それは分からない。 豊平さんが摂食障害と思われたのは、三度の食事の時に全く出された物に箸をつけない事もあれば(看護師に少しでも食べるよう促されていた)、…

おかあさんと(おとうさんと)いっしょ

と言う訳で、メンヘラ歴1/4世紀以上の私であるが、困った事に、嬉しくない事に 目下長男敏記もメンタルを病んでいるのである。 もともと繊細で、細かい事を気にしてくよくよする性質だったのだが、このところ 仕事によるストレスと体調不良で三大欲求ー食欲 …

今週のお題「カバンの中身」ー朱印帳ー

今週のお題「カバンの中身」 スマホ、財布、鍵、ハンカチと言った物の他に入っている大事なアイテム、それは 「朱印帳」である。綺麗な朱印帳をある八幡宮で販売しているのを見かけて購入してから、朱印集めを始めた。行く先々で寺社仏閣の朱印を集めたら膨…

患者図鑑90 病院食グルメ1 食パンのおいしい食べ方

他の病院食の例にもれず、B病院でも食事はおいしくはない。そして、一種類のみで選択の用地は無い。 これも何度か書いてきたが、消化器などの疾患ではないので、皆食欲旺盛だった。そしておいしくはなくとも、食事は入院生活の中で楽しみなイベントの一つだ…

患者図鑑89 スター誕生

私はあまり男性患者との交流はなかったけれど、数少ないよく話した相手が月島さんだった。月島さんは35歳だと言っていた。 何かのきっかけで月島さんが東海地方の某都市の出身と知り、そこは私の母の出身地で私も祖父母や親戚を訪れる為良く行った土地なので…

患者図鑑88 病気への愛

高石さんは、うつ病で入退院を繰り返している人だった。20歳の頃から30年以上病気を患っていると言う。(1/4世紀の私より先輩だ!) 独身で、兄弟はいない上に父親を高校生の頃に亡くし、肉親は母親のみ。しかし詳しい事情は分からないが、母親とも疎遠にな…

患者図鑑87 添田さんの愛読書

添田さんは白髪頭で大分髪が薄くなっていたので、多分そこそこ年は行っていたのだろう。男性患者なので、食堂や洗面所で一緒になる事はなかったが、男女ともに使用する談話室で良く見かけた。 ちょうど談話室常連の小野寺さん utuutuyasuyasu.hatenablog.com…

患者図鑑86 守秘

これは、入院仲間の砂山さんから聞いた話。 砂山さんが以前通院していた病院(その後入院もしている)の待合室で、千頭さんという女性と知り合った。 千頭さんには高校生の子供がいて、不登校ぎみであり、登校しても教師や同級生とたびたびトラブルを起こす…

患者図鑑85 駆逐!カルジャダン

渋川さんにとって不倶戴天の敵は「カルジャダン」だ。渋川さんはいつも いつもいまいましげにカルジャダンへの憎しみと嫌悪を語る。 「カルジャダンがもう頭に来るの。いい加減にして欲しい。もうどこかに行って!」 「いいかげん何とかして欲しいわよね。も…

患者図鑑84 玉串奉奠

B病院では、カレーなどの場合を除いて食事の際にプラスチック製の箸がついてくる。 財津さんは食事の前に決まった儀式がある。箸を捧げ持って。時計回りに4回回してから食べ始める。食べ終わったら、また箸を取り4回回して終了。 何かに似ているなぁ、と思…

患者図鑑83 神様のおわす病院

「えー-っ、芥子川さんより凄いって何ですか?」と私は聞いた。 「皇族のご落胤とか?」 「それより凄いよ。自分は神様の化身だっていうの」 私は絶句した。 その人は小暮さんという初老の女性なのだけれど、自分は木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)の化身…

患者図鑑82 義経の子孫

芥子川さんの自慢は「私の先祖は義経と静御前なの!」であった。日本史の中でも人気を誇る義経と静御前。その末裔が自分だというのである。 確かに義経と静御前は恋愛関係にあったし、男児も生まれた。しかし当時もう義経は罪人であったので、子供は生まれて…

患者図鑑81 素顔のままで

熊谷さんの素顔を知る者は誰もいなかった。入院患者は、ノーメイクの人も多く、メイクしていてもせいぜい眉を書いたり口紅を塗る程度。しかし熊谷さんは常にばっちりと フルメイクをしていた。つけまつげまでしているくらいだ。 薄いメイクをしている人も、…

今週のお題「マイルーティン」2 ー風水的最小限掃除ー

今週のお題「マイルーティン」 もう一つ、舌苔取りの他にマイルーティンがあったのを思い出した。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com うちははっきり言って散らかっている。私が元々片付けが苦手、嫌いな事に加え、鬱で時々具合が悪くなり寝たきり状態になるの…

今週のお題「マイルーティン」1 ーアーユルヴェーダー

今週のお題「マイルーティン」 心身の不調に悩まされていた私は、「女性の健康の為にーアーユルヴェーダ」 (正確なタイトルはうろ覚え)講座に参加した。 自治体の主催する講座なので、セールスや会員勧誘などないだろう。 ja.wikipedia.org まず、女性講師…

患者図鑑80 皮膚むしり症

粕谷さんはセミロングのボブで、前髪をかなり厚く作っていた。なので額は全く見えない。が、粕谷さんと話していると、しきりに額に手をやっている。 かゆいのかしら、何かできものでもあるのかしらと思っていたが、あまりに頻繁でかつ 毎日である。 ある日、…

患者図鑑79 退院します2

翌朝、「昨夜随分看護師さんバタバタしてたよね」と話題に上がった。 梁井さんが寝不足顔で「うちの部屋なの」と話し始めた。 夜中に喜多さんが起き上がり、荷物をまとめはじめた。そしてナースコールを 押し、看護師を呼んで「もう退院の時間ですよね?支度…

患者図鑑78 退院します1

手を洗い続ける大坪さんも、縫いぐるみに話しかける江橋さんも見慣れてしまえば 気にならない。ここは精神科の病院なので、ちょっと変わった事をする人がいるのは 当たり前で、それがその人の「いつものやり方」だと分かればこちらも平常心で受け止める。 新…