患者図鑑101 パーソナルスペース
子供の頃、長机に何人か並んで座って「ここからは自分の場所だから!」と鉛筆で線を
引いたり、隣の人を押しの行けたりした経験はないだろうか?
嵐田さんはまさにその人で、食事の際はちょうどトレイの大きさが自分のスペースと同等になっていたから良いのだが、その他作業療法やおしゃべりで大きい机で他の人と
同席する際に、良く「ここからは私の場所だから!入らないで貰える?」と大声で主張していた。彼女の気にする侵入範囲はたかだか3,4センチ程度のものなのだけれど。
これ以上は入るな!と威嚇・警告する割には、逆に非常に距離をせばめてくるこ事があるのだ。
パーソナルスペース
「他人に近づかれると不快に感じる空間のこと」を言うそうだが、親密によるけれど
相手とは一定の距離をたもたないと不快に感じるのだ。
上記wikipediaによれば50cm以下は「排他域」絶対に他人を入れたくない距離、「会話域」50cm~1.5m、日常の会話が行われるゾーン と説明されている。
確かに50cmはかなり近く、親と子、恋人同士くらいでないとこの距離は取らないだろう。
しかし嵐田さんは、机を共有する際にはセンチ単位で自分のスペースにこだわるのに、
会話をしたりする時が異常に近かった。内緒話でもなく、ごく普通の会話なのにキスするほどの距離に顔を近づけて来る。こちらがたじろぐほどである。患者仲間相手だけでなく、誰に対しても、例えば看護師や作業療法の先生に対してでも。
嵐田さんの相手との距離の取り方はちょっと理解に苦しみ、対応に困るのだった。
(文中は全て仮名・仮称です)