そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

精神科医八人目(三重医師)認知症と精神分析

楽しかったD県から、G県に転勤となった。G県もまた、知人も親戚も

全くいない土地であった。

何よりも大きな違いは、D県の住居が市街地で近所に同年齢のお子さんがいる

家庭が多かったのに比し、D県の家は少し辺鄙なところにあり、移動は全て

車であることだった。

私は免許は持っているものの、運転は苦手で買い物やクリーニング、時には

家族の送迎で車を出すのはとても負担に思えた。

お恥ずかしい話だが、車をこすったりぶつけて凹ませた事は複数回ある。

であるので、G県での医者選びの条件は「ともかく近いところ」だった。

元々メンタルクリニックは数がなく、三重クリニック(仮称)の次に近い所は

車で一時間はかかったので、他に選択肢はなかった。

 

三重クリニックは自宅とクリニックが一体となっていた。三重医師の夫人が

受付や会計を担っていた。

クリニックの外観を見た時、随分年季が入ってるなぁと感じたが、三重医師

も大分年季の入った方だった。

まずは、ここで開業する前に大学病院や有名総合病院で研鑽を積んできたと

自己紹介。それから島根医師からの紹介状を読んで問診が始まった。

ちょっと気になったのがしきりに「初潮の時期」「初めての性交の時期」「初産の時期」を聞かれた事だ。初潮の時期は大まかにしか覚えていないので、だいたいを

答えると何歳か、何年生だったかと細かく質問された。

確かにホルモンバランスと精神状態は密接な関係であるので必要な質問なのだろうが

、他の医師受診の際には子供の出産時の年齢を聞かれたくらいであったので怪訝に思った。しかも後述するが、三重医師は認知症(?)気味で、受診の度に初潮や性交の

事を聞いてい来るので少し気味が悪いくらいだった。

「僕は精神分析が専門なんですよ」と三重医師は言った。

フロイト精神分析は、詳しくはないが耳にした事はある。今までかかった医師から

精神分析」の言葉が出た事はなかったので、新鮮に感じた。

「ではね、心に浮かんだことを自由に話して下さい」と言われた。

今までは前回の受診からの様子、症状、今苦しんでいることを話す流れであったので

とまどった。

「川を見ていると葉っぱとか、枝とか魚とか色々流れてくるでしょう。そのように

あなたの心に流れて来たものを自由に話してくれればいいんです」

そう言われて実行に移そうとしたが、一向に私の心の川には何も流れて

こない。医師が川、と言ったので「川が浮かびました」と答えた。

「なるほど。では次は?」どんなに心の中を見つめても何も浮かんでこない。

「何も浮かばないんですが」

「何でもいいんですよ。自由に…」

その問答がずっと続いた。

医師に「精神分析は受けたことがなく、どのようなやり取りになるのか

想像がつきません。何か見本例のような物を見せて頂ければ」と頼んだ。

「でもねぇ、他の患者さんのカルテを見せる訳にもいかないし」

私は別に他患者のカルテを見たいのではない。例えば教科書に例が乗って

いたら、それを事例として見せてくれればいいのだ。

医師の後ろにはずらっと精神分析関連の専門書が並んでいる。

「例えばこんな感じになるんですよ」と教科書を開いて例を見せてくれればいいのだ。

しかし、結局三重医師から事例が示される事はなく、

「自由に思い浮かんだ事を言ってください」

「何も浮かばないんですが」

「何でもいいんですよ。自由に…」

の不毛のやり取りの反復だった。これで治療になっているのだろうか。

もう一つの懸念は、三重医師が同じ事を何度も繰り返す事だった。

前述した初潮等の質問は、一度答えればカルテに記入しおしまいになると思う。

しかし、次回も次々回も、あたかも初めてであるように同じ質問をするのだ。

「ここはね、何を言っても大丈夫ですから。ここで言われた事は秘密を

守りますから}これも初回に伝えれば済むと思うが、毎回毎回言われた。

他にも「前お伝えしましたが」「前にもお聞きしましたが」言いたいような事態が

度々起こった。

自立支援の診断書作成をお願いしていたところ、作成どころか用紙すら紛失されていた事もある。

受付や会計を担当している夫人も怪しくて、きちんと会計をすませ、領収書

も貰って「お大事に」と挨拶されているのに後から「会計まだじゃないですか?」

と電話がかかってきた。

領収書もある旨話すと「ああー そうでしたか」と電話を切った。

そのように医師や夫人の判断能力に疑問を持つことがしばしばだった。

ただ、抗うつ剤の処方箋は書いてくれたこと、他のクリニックが遠い事、

転勤の間のお付き合いであることで、諦めと我慢で通院していた。

ある時、買い物の為運転していると前の車がを左右にフラフラしている。

良く見ると(人の事は言えないが)車の後部にぶつけたあとが複数個所

あり、へこんでいる。

危ないなぁと思いつつ、追い越すと運転席に三重医師、助手席に夫人が

座っていた。