患者図鑑92 待合室のお茶会
私がB病院のA病院にかかっていた頃の話である。
有名な総合病院であるA病院では精神科は隅に追いやられた日陰の存在で有る事は
前に記事に書いた。
しかし、その精神科において一人話題の人気医師がいた(私の主治医ではない(笑))。
新口医師は本を出したりテレビに出たり、講演もしているようだった。そのせいか診察を希望する患者は多く、「門前列をなす」状態だった。他の精神科の医師の外来患者が皆はけてしまっているのに、新口医師の患者だけが外が暗くなってきているのに大勢順番を待っている姿を何度か見た。
午後の診察開始は一時半からで、他の医師の場合は五時、遅くても六時に診終わるのに
新口医師の場合は時には七時過ぎると聞いた。
A病院でお世話になった七瀬カウンセラー
に聞いたのだが、新口医師の患者の多さに予約通りに診察が行われた試しがなく、待ち時間が大変長いのだがそれで不満が出るという事はないらしい。新口医師の患者同士が顔見知りになり、かつ待つ時間が長いのが分かって来てお菓子や飲み物を持参して丸になって座り、話に興じているのだという。そう言えば待合室の隅に固まって、何だか盛り上がっているグループを目にした。あれが新口医師の患者同盟だったのだろう。
私の主治医は新口医師ではないので、その集まりに加わった事はないが何だか楽しそうだ。どんな事を毎回話していたのか、ちょっと気になる。
(文中は全て仮名・仮称です)