スピリチュアル図鑑14(茨城先生)幻の兄弟ー水子供養
占い師、霊感占い師と言うと雑誌や街中でも良く見かけるが、「霊能者」と真っ向から謳う人は限られるのではないか。
私が見て貰った茨城(仮名)先生は、「霊能者」とはっきり名乗っていた。茨城先生は、霊能者が複数所属する団体に所属していた。昨日今日出来た団体でも無いようだし、料金も許容範囲内である事から予約を取ってみた。キャリアもあり、評判も良い人をという事で茨城先生に頼む事にした。
相談時間は30分と決まっていた。受付で用紙を貰い、名前や相談事を書いて待った。
現れた「霊能者」は、本当に普通の初老の男性だった。
「うつで本当に辛いんです。このうつを何とかしたい」といつもの相談をした。
茨城先生は、目をつぶってしばし沈黙した。目をあけた先生からの回答は、
びっくりさせらる内容だった。「あなたのご主人、兄弟で一人水子がいるんです。その水子の障りですね」
夫の兄弟で水子がいて、その影響で私がこんなにうつに苦しんでいる…?
そしてその障りを解消するために、お札を渡すと言った。そこに夫の両親の名前、私の名前を毎日書きなさいと。そうすればうつがおさまると言うのだ。
支払いをして、お札を鞄に収めて帰路鑑定について考えた。
夫は三人兄弟の真ん中だ。その間に中絶や流産があるのだろうか。
そうは思えない理由が幾つかある。夫の兄弟は女、男(=夫)、男の順で綺麗に二年おきに生まれている。
義母はあけっぴろげで大らかな性格だ。ざっくばらんに話をするのだが「まずねぇ、男女一人ずつ生まれたでしょ。それでお父さん(義父の事)と相談してもう一人欲しいねって。それで剛(末子。仮名)が生まれたの」と言っていた。実に計画的に出産していている。流産や中絶をする隙がないのではないか。
それに加えて、根拠はまだはある。義母は長女なのだが、次女である妹とはかなり歳が離れている。「君子(次女。仮名)と歳が離れているでしょ。多分ね、私が生まれた後何度か母(夫の祖母に当たる)が流産してるんじゃないかなぁって思うのよ」自分の母の流産を推定して私に話すくらいだから、自分がそうであれば私に言うだろう。
義両親の関係、義母の性格、綺麗に感覚を置いて生まれた夫の兄弟の事を合わせると
とても水子がいるとは思えない。仮に、水子がいたとしても、義両親なら
きちんと供養をするだろう。
一応、夫がにもそれとなく生まれて来られなかった兄弟がいたか聞いた。「なにそれ」と一笑に付された。
茨城先生から貰ったお札は3週間分(21枚)あり、全部書き終わったら焼く事。焼き終わっても変化がなかったらまた来てくださいと言われた。
私は毎日名前を書きづづけた。21枚のお札は、焼いたが全く変化はなかった。水子説を疑いながら書いていたのが良くなかったのかもしれないが。
もう一度茨城先生のところに相談に行く気はなかった。水子説がどうしても納得がいかなかったのが一番大きな要因だが、それだけではない。
私がお札が用意されるのを待って座っていた時、死角になるところに霊能者なのか、受付の人なのか分からないが、ともかく団体内部の人が何人かいた。その人たちが声高に相談内容を話しているのだ。
「さっきの人ねぇ、どう考えても旦那不倫してるよねぇ」「そうそう。それから
次の✕✕って人、仕事上手くいかないっていうけどいかにも使えなそうな」
個人情報もへったくれもない。深く悩み苦しんで、藁をも掴む気持ちで相談に来ているのに茶飲み話の材料にするとは何たることか。相談者に大してあまりに失礼で不誠実ではないか。そんな団体にこれ以上相談する気は起らなかった。