そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

スピリチュアル図鑑13 (福島先生)私の前世

がっかりさせられたり、嫌な思いが多かった占い行脚だが、占って貰って良かった、

リピートしてもいいな、と思った占い師さんもいる。

福島先生だ。福島先生は、霊感があるけれど、西洋占星術やペンデュラムを併用しつつ

占ってくれる。

福島先生を探し当てたのはやはりネットである。

大きな駅からちょっと裏通りに入ったところにあるマンションに、福島先生の

事務所(と言っても一人でやっている)があった。多分住居を兼ねているのであろう。

 

複数の占い師に観て貰っての感想なのだが、特に女性の占い師がマンションの一室で

占っている場合、見ず知らずの者(依頼者)が訪ねて来て一対一になるのは危険を伴うのではと危惧する。予約の際に名前やアドレスなど伝えるが、そんなものは幾らでも偽れる。お金を踏み倒したり、セクハラや暴力だってありうるかもしれない。

なので、占い師によっては相談客は女性に限るとしたり、HPに住所は載せず、予約を入れた者に対してのみ場所を開示する場合もある。

これは依頼者にも言える事で、高知のように占い師が男性で有る場合は立場は

逆転する。

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いわゆる「占いの館」のように複数の人の目があったり、ショッピングモールの中にある占いコーナーなら安心度は段違いなのだが。

ただ、おかしな事にマンションやビルの一室で秘めやかに占って貰う方が信憑性

があるように思えたのも事実だ。幾らオーラが、守護霊がと言われてもカーテン

一枚隔てて、カートに子供を乗せた親子連れが歩いていたり、アイスクリームを手にしている人が談笑していると、自分が占いをして貰っている事が恥ずかしくうさんくさく思えてしまうのだ。身の安全を取るか、気持ちの安定を取るか悩ましい所である。

 

話を福島先生に戻す。HPで写真は見ていたが、イメージ通りのソフトで優しい感じの、綺麗な女性だった。話しているうちに社会人の息子さんがいる事が分かったが、とてもそんなお歳には見えない。

部屋はライトは暗めだが、おどろおどろしい感じや怪しい宗教めいた飾りつけもない。

微かにお香が香っている。先生はハーブティーを出してくれ、鑑定が始まった。

1時間コースを予約してあった。「時間内で何でも聞いてくださいね。何なら少し

くらい時間オーバーしてもかまいませんよ」福島先生は微笑んだ。

先生は私のホロスコープを作成し、時にはペンデュラムを使って私の質問に次々と

答えてくれた。

「あなたは繊細と言うか、色々気を回してしまう性質なのね。なので悩みをため込んでしまっているから今のように苦しくなってしまうのよ」

「今病院に掛かっているのね、場所はどこ?方位で見るわ。うん、いい先生にかかってていると思う」

その他、家族運とか今後の人生の転機などたくさんの質問をしたが、常ににこやかに

穏やかに答えてくれた。

福島先生は変な「溜め」の時間がないので、さくさくと進む。

私は、思い付きである事を聞いてみる事にした。「先生、私の前世って見えますか?」

「見えますよ。ちょっと待ってくださいね」先生は目をつぶってちょっと瞑想した。

富豪の令嬢?王侯貴族??巫女さんかしら、傾城の美女なーんて。いや、男性かもしれない。武士や騎士なんか格好いいな。勝手に妄想を膨らませる。

「中世。ヨーロッパの…」

ふむふむ。

「農家のおかみさんですね。旦那さんは農夫です」

先生は「豪農」とは言わなかった。「普通」の農夫のおかみさんなのだろう。

ちょっとがっかり。

農夫

「でも、転生って何回もするんですよ。私に良く見えたのが、農家のおかみさんと

もう一つは…」

もう一つに賭けよう!

「あなたが亡くなる時が見えます。第二次世界大戦。空襲でね、あなた防災頭巾

被ってお子さんと一緒に亡くなってます」

またしてもセレブ路線は空振り。にしても、第二次大戦で亡くなったのなら割と最近

の話だ。生前の私を知っている人がまだ存命かもしれない。

しかし、ヨーロッパで農夫のおかみさんなら、今世で家庭菜園くらい勤しんでいても良いだろう。しかし、全くその方面には食指が動かない。戦争で死んでいるなら反戦運動に邁進してもおかしくないが、そういう事もない。前世とは今世にあまり影響しないのだろうか。

また、憧れのセレブ路線にしたところで、昔一国の王妃だったと言われたとしても、現在は自分でゴミ出しをする身分である。前世で巨万の富を手にしていたとしても今の通帳額残高の額が変わる訳ではない。

私に取っては前世が何であったかは余り現在に関係していないように思えた。

ただ、とても安心したのが、どちらの前世においても自殺していなかった事だ。確かに

子供を抱いての戦争での死亡は確かに悲惨な死に方だ。しかし、私は先生に見て貰った

当時本当に強い希死念慮に苛まれていた。天寿を全うどころか。子供が一人前になるまで自分を殺さずに生きて行けるか自信がなかったのだ。

前世で自殺を回避出来たのなら、今世でも自殺はせずにすむのではないだろうか。「自分は生き抜く事が出来るかも」と心に小さなあかりが灯った。

私が前世を見て貰った最大の収穫は、その希望と自信だったかもしれない。

 

前世はともかく、福島先生は終始こちらの悩みや苦しみを泰然と受け止めて、静かにゆっくりとアドバイスを伝えてくれた。カウンセリングのようでもあり、とても心地よい時間だった。

占いの結果は、当たった事も当たらなかった事もあった。先生に本当に霊能力があるのかも分からない。しかし、詐欺まがいの青森事務所から泣きながら帰った事、

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怒りと後悔に苛まれながら高知の泊まっているホテルを後にした事

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を思うと、福島先生の鑑定の帰路はとても癒されて満たされていた。