一時帰宅2
病院にいたら消灯は9時。まだまだ寝たくない。起きていられる。私は動画サイトを見まくった。二か月見ていなかったが、どんどん新しい動画がアップされている。
カラオケを歌いまくり、曲に合わせて踊った。お笑い動画を見て笑い転げた。
録画しておいたテレビ番組を見、ゲームをした。
楽しい。楽しい。まだまだ寝なくていい。ご飯を作る時間も勿体ない。冷蔵庫にある物をちょこちょこつまみながら、興奮状態であれこれやりまくった。気が付くと夜が明けていた。
本当は、家を空けている間の埋め合わせでいろいろ手続きや連絡をしなくてはならなかたったのだが、何一つできなかった。一晩中高ぶった状態で遊びまくって終わった。
こんなふうに過ごすはずではなかったのに。悄然として門限に間に合うように帰路についた。
次の診察の際、外泊はどうだった?と主治医に聞かれて正直に答えた。
一睡もせずあれこれ動き続けたけれど、やらなくてはいけない事は一つも片づけれられなかったと。
主治医は顔をちょっとしかめて「まだ帰るのは少し早かったかもね。次の外出許可は
もう少し先の方がいいと思う。それまで外出にとどめておいて。それから次回は誰か
ご家族が家にいる時に帰宅するようにしましょう」と言われた。
退院への一里塚になるはずだったのに、と心底がっかりした。しかし冷静に振り返ってみると、この一時帰宅中の私の行動は明らかにおかしかった。外泊許可が先になるのも
むべなるかなだった。