そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

患者図鑑65 友達の作り方7ーお守役ー

入院患者に米良さんという人がいて、同じく入院している門馬さんが友達… というよりはお守役になっていた。

米良さんは統合失調症で入退院を繰り返していた。門馬さんは、うつ病との事だった。

米良さんは躁鬱もあり、時々病棟で騒いで問題を起こすこともあった。一方門馬さんは

常時平静で、常識的な人に見えた。

米良さんと門馬さんは年頃も近く、偶然だが子供同士が同じ幼稚園に通う間柄。家も

近所だそうだ。

米良さんの外出(一時帰宅や買い物)は門馬さんが必ずついて行くようになっていた。門馬さんもしっかりしているとは言え、入院するほどの病人なのに、と思ったがお互いの主治医承知の上だそうだ。

門馬さんも「米良さんはとってもほっておけないから」と納得の上見守り役を引き受けていた。

そのせいか、本当にちょっとしたことでも米良さんは門馬さんに相談し、決定して貰っていた。

例えば、私がクッキーでチョコ味とバニラ味とどちらがいいですか?と渡そうとすると、「門馬さーん、チョコとバニラとどっちがいいと思う?」と聞くのだ。

自宅に帰るのも、門馬さんに「帰ろうと思うんだけどどう思う?」「いつがいいと思う?」とお伺いを立ててから決定する姿を幾度も見た。

そして「やっぱり行くの気が重い」と「ドタキャン」するのだが、門馬さんは「そうね、分かった」と怒りもせず受け止めていた。

家族でもないのに、あんなにべったり頼り切って大丈夫なのか。思考停止状態の米良さん自身の意思はどこへ行ってしまったのか。門馬さんに負担はないのか気になった。しかし、主治医や当人たち、おそらくは彼女たちの家族も承知しているのだから私の口を出すところではなかった。

(文中は全て仮名・仮称です)

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