患者図鑑77 強迫性障害2
手洗いの他にも色々こだわりがあるようだった。
例えば、食堂に向かう時、きっかり○歩で席につければ良いが、何かの都合で一歩二歩
、歩数が足りなかったり多かったりすれば病室に戻ってもう一度やり直す。
また、歩き出す時は「必ず右足から」というこだわりもあるそうだ。
どちらの足から踏み出したか忘れた場合はやはり最初からやり直しだ。
食事はお盆の上に乗せられ、配膳車に乗っているのを自分の名札がついたものを各自取って来て、食事が終わったら配膳車に戻すことになっている。
戻したあとで、大坪さんは良く食堂に戻って来て「私、全部食器返したかしら?何か返し忘れないかしら?」と心配していた。戻し忘れしていた事は一度もないのだけれど。
手洗いが頻繁である話は前回書いたが、蛇口を閉め忘れたのではないかと何度も確認に行っていた。(いつも大坪さんはきちんと蛇口を閉めていた)
洗濯もとても頻繁に行っていたが、洗濯機に洗濯物の残し忘れ、お釣りの取り忘れがないか、また干したら干したで取り込み忘れや洗濯ばさみを忘れていないか繰り返し確認に行っていた。
食事は朝はパン食、昼は麺類、夜は米食が多かったが、箸をつける順番も決まっているらしかった。夜はご飯・みそ汁・漬物・副菜・主菜というラインアップが基本だったが、たまにイレギュラーな組み合わせが出ると、どれから手をつければ良いか迷っていた。
他の病気と一緒に強迫性障害の治療も行われていたのだろうし、看護師も患者仲間も病気の事はわかっていたのでとがめだてや口出しはしなかった。
途中で通院に切り替えます、と退院していったが、元気にしているだろうか。
(文中は全て仮名・仮称です)