ロジャーズ 来談者中心療法
カウンセリングにも色々な派があるようで、七瀬先生も「この病院に
所属するカウンセラーも人によって若干やり方が違うかもしれませんね」
とおっしゃっていた。
七瀬先生のそれはロジャーズの来談者中心療法に一番近いという。
この療法の基本的な考えは、「来談者の話をよく傾聴し、来談者自身がどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組んでいきさえすれば、別にカウンセラーの賢明さや知識を振り回したり、押しつけたりしなくても、来談者自らが気づき、成長していくことができる」ということです。(日本臨床心理会 HPより)
先生は私の話をいつも良く聞き、受容してくれた。時に励まし、違う選択肢や見方を示し、
アドバイスをくれた。上記HPの説明にあるように、クライアントが自ら気づき成長
するのを待つので、短期間で劇的な変化がある訳ではない。カウンセラーが神様
のように「ベストな解決案」を提示する訳でもない。
ただ、溜まりに溜まった苦しみを滂沱の涙を共に吐き出す、それだけでも
気持が整理されるものだった。そこで整理された考えを五藤先生に伝えるのは
良いサイクルだった。
七瀬先生の前では泣いている時間がとても多かったが、
「泣いている時間も治療の時間、カウンセリングの時間」のうちだったと
思っている。
先生には色々助けて頂いたが、今でも覚えているのが「私なんて役に立たない。
迷惑をかけてばっかりで。離婚したい。死にたい」と訴える私に
「ご主人には友泉さんが一番大切なのよ。そしてお子さんたちも、たとえご飯が作れ
なくても、寝たきりでもお母さんが、友泉さんが大好きなのよ」と励まして
くれたことだ。
それは口先だけの激励とも言い難かった。色々話していくうちに先生は家族状況、夫や子供の特性や現状を非常に的確に把握していってくれた。夫や子供を実際に知っているのではないかと思う程の適切な助言をくれることが度々だった。
自己肯定感が著しく低い状態だった私にその言葉は嬉しかった。
こんな私でも愛してくれてるんだ、必要とされてるんだ。私は幸せ
なんだ。もう少し頑張ってみよう。
七瀬先生とはのちに心ならずも別れる事になるのだが、今でも感謝している。