そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

患者図鑑5 洋食屋のおかみさんの摂食障害

同室の相沢さんについて書こう。今まで待合室で精神科の患者さんと

居合わせたことはあったが(患者図鑑1~4)親しく言葉を交わしたのは

同室になった相沢さんと伊原さんが初めてだった。

相沢さんはショートカットの似合う40代くらいの女性で、はきはきと話す方だった。

「私ねぇ。摂食障害で入院してるのよ。拒食症」

確かに病的に痩せていて、手足は木の枝のように細かった。

顔色は悪く、爪はぼろぼろ。目がぎょろぎょろ目立っていた。

「食べても、喉に指入れて吐いちゃうの。何度も吐くから歯も悪く

なっちゃって」じっくりと見た訳でないが、確かに歯は悪いように見えた。

患者は食堂で一堂に食事を取るのだが、相沢さんもきちんと席についていた。

しかしあまり食べていないように見えたし、実はその後吐いてしまうこともあると

こっそり打ち明けてくれた。「なかなか治らないのよね」

酷くやせてはいたが、それなりにエネルギッシュで良く話しかけてくれたし、

院内の庭園や売店にたびたび出かけていた。

びっくりさせられたのがこの一言。「こんな病気だけど、うち洋食屋なのよ。

一日何十人前もの食事運んでるの。自分は食べれないっていうのに、笑っちゃうよね」