カウンセラーの仕事ーサイコオンコロジーー
時系列的には前後してしまうが、A病院時代に七瀬先生(カウンセラー)から聞いた話をふと思い出したので記事にする。
繰り返しになるが。A病院でカウンセリングを利用するには、主治医にまず相談し、カウンセリング部門に繋ぐ形を取っていた。
ある時、七瀬先生に精神科受診の患者の何割くらいがカウンセリングを受けているのですがと聞くと、3割程度との答え。
私はとても驚いた。私の場合医師が投薬を中心に行い、心理療法をカウンセラーが行う両輪での治療が安心感に繋がり、とても満足していた。
私は毎回医師やカウンセラーに話したい事で膨れ上がっていた。
苦しさや辛さ、悩みやカウンセリングは50分、医師と話すのは15分程度だがそれでも
話し足りない事もあった。せっかくカウンセラーがいるのに利用しないとは。
七瀬先生は「あまり話をしたくない人も中にはいるんですよ。薬だけ出してくれたら
良いと」
また、社会人でそれなりの年齢で高い位置にいる人は、自分の職務から
来る悩みを自分の子供くらいの年齢の女性相手に話す気にならないのでしょうね、
とも言った。
加えてカウンセリングは自費となり、健康保険も自立支援も効かない。
金銭的な問題で選択しないケースもあるそうだ。
私はカウンセリングを受けるクライエントは精神科からの紹介だけなのかと
思っていたら、そうではないとの事。
A病院は総合病院なので、一通りの科は揃えていた。入院や手術も行っている。
例えば癌患者、難病患者、治癒が見込めない疾患の人、またその家族にカウンセリングを行うのも業務の多くを占めているという。
七瀬先生に教えて貰ったのだが、サイコオンコロジー(精神腫瘍学)
という学問があるそうだ。上に貼ったリンクを見て頂ければ詳しく説明があるが、
一部抜粋する。
●サイコオンコロジストの活動
サイコオンコロジストの役割は、
- 疾病や治療に関する適切な情報を提供すること
- 決して孤立しないように情緒的に支えること
- 治療を続ける上で患者さんを悩ます不眠や不安、気分の落ち込みに対して、精神医学的な治療を含めたサポートを用意し、最善の治療を受けられるように医学的なサポートを提供すること
(日本サイコオンコロジー学会 HPより)
癌自体の治療が重要なのは言うまでもないが、不安な気持ち、悲しい苦しい気持ちなど精神面のサポートも大切であるのは想像に難くない。
私も身内や友人に癌を患った人がいる。治療が功を奏し普通に生活している人もいれば
命を落とした人もいる。
その人たちは再発におびえたり、抗がん剤の副作用に苦しんだり、引きこもりになったり様々な悩みを抱えていた。家族も含め、メンタル面のサポートを受けられれば
どれだけ心強いだろう。先の見えない難病や、不治の病の人も同様だ。
A病院において、カウンセラーは精神疾患以外の患者・家族をも支えていたのだった。