そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

ヘルパー図鑑27 (香川さん) 独創的料理

「子供がおりますので、栄養のある食事を取らせたいと思います」
と初めて援助に入る方には毎回お願いしていた。普段は冷凍食品や買って来た
お惣菜でようよう凌いでいるので、せめて「つばき」の方が来て下さる日には
バランスの取れた料理を食べさせたかった。
香川(仮名)さんにも初日には同じようにお願いした。
小学生(当時)の男児が二人いる事は十分承知して頂いたのだが、その結果作って頂いた料理に少し驚く羽目になった。
いずれも香川さんのオリジナル料理のようだった。
冷蔵庫のカルピスを(多量に)加えた野菜炒め。
グラノーラを衣にしたフライ。
チョコパイを混ぜ込んだオムレツ。
どれも初めて食べる料理で、夕食時に口にしてみると箸の進まなくなる味だった。甘すぎる。
野菜炒めもフライもオムレツも、奇をてらわずに作った方がずっと美味しいのに。夫も子供も口に合わないようで残してしまった。
何度かオリジナル料理と家族の不評が続き、私は普通のお料理で結構なんですがと香川さんに遠慮がちに伝えてみた。
「えっ 子供さんはカルピス好きでしょう?グラノーラ、好きでしょう?」と香川さんは心外と言う反応だった。せっかく子供に
気を遣って考えて作ったのに、と言いたげな表情をされていた。
確かにカルピスもグラノーラも、チョコパイも子供が好きなのでうちにおいてあった。しかしそれを野菜炒めやフライに使うのは。
どれも相性がいい組み合わせとは言い難かった。子供の好みを考えすぎた独創料理より、本当にありふれた、さりげない献立で十分なのだった。