ヘルパー図鑑26 果敢なヘルパーとそうでもないヘルパー
「つばき」は、出来るだけ我が家から近い所に住むヘルパーを探すようにしてくれて
いた。とは言え、歩ける距離の方はおらずバスか自転車だった。
自転車の場合、天気が心配になる。台風が来たり、雪が降ったり。そこまででなくても荒天であるといらっしゃる方は大丈夫かと気になってしまう。
天気が崩れそうであると、予め予報を見て、もし大変なようならキャンセルで
結構ですと連絡を入れるようにしていた。
「つばき」では比較的年配のヘルパーが多い事もあり、安全を取って休みになる事が多かった。
しかし思い返してみると「ひまわり」
はもう少し若い年代であったせいか、果敢なヘルパーがいた。
ある時台風が接近していて、強風と激しい雨が予想された。私は卯川
さんに電話をし、危ない様だったらキャンセルで構いませんと伝えた。
辰倉さん
utuutuyasuyasu.hatenablog.comが来る予定の日だった。卯川さんは、「辰倉に伝えます」と一旦電話を
切ったが、すぐに電話があり「本人が大丈夫だと言っていますので」
との事だった。
その日は朝から辰倉さんの身が心配になるほどの大荒れの天気だった。
普通なら余程の用事がなければ外出を控えるだろう。
私は「ひまわり」からキャンセルの連絡を待っていたが、約束の
時間にインターフォンが鳴った。
「いやーー、凄い天気でした」雨ガッパをかぶった辰倉さんはずぶ濡れ
だ。「もう長靴の中までびちょびちょで。あ、靴下は替え持ってきましたので」
しずくがたれてしまうから、と用意して来た大きいゴミ袋にカッパを入れ
素早く靴下を履き替えた。
「じゃ始めますね!」いつもの元気さで辰倉さんは調理に取り掛かった。
時間になった。では、と辰倉さんはカッパと長靴を再装備した。
天気は相変わらず悪い。大丈夫ですか、外はまだ酷いようですけれどと言うと
行きも結構風にあおられて転びそうになって、自転車を押して進んだ区間も
あったとか。帰りを心配すると、「慣れてますから!平気平気」と言って
颯爽と辰倉さんは去って行った。