そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

ヘルパー図鑑5(馬場さん)スーパー家政婦登場!

「ひまわり」も「たんぽぽ」も駄目。困っていた私の前に現れたのが

スーパー家政婦、馬場(仮名)さんだ。

馬場さんとの縁は全くの偶然の賜物だった。たまたま行った病院(精神科

ではない)の待合室で、隣合わせになった女性から紹介して貰ったのだ。

私は周りの身近な人に自分の病気を明かしていないのだが

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その女性、小野寺(仮名)さんはいわば行きずりの人。なので抵抗なく自分の疾患

の事、家事で悪戦苦闘している事を打ち明けられた。

「いい人を知っている」と小野寺さんは教えてくれた。

小野寺さんはお店を経営している。夫も子供もいるが家事に手が回らないので、

家政婦を頼んでいるとの事。

「すごく仕事の出来る家政婦さんなの。自信を持って薦められる」

小野寺さんは馬場さんに鍵も預け,仕事の間に家事を済ませて貰っているとの事。

「散らかしっぱなしで出かけちゃっても、家に帰るとすっかりと片付いて

ピカピカになっているのよ」

夢のような話だ。

「合わないと思ったら、断って貰って構わないので」

小野寺さんを信用してみることにして、馬場さんと連絡を取った。

 

約束した日、時間5分前にインターフォンが押された。

馬場さんは運動部にでも在籍していたかのような、体格のいい女性で、

思ったより若かった。作業しやすそうなパンツスタイルだ。

「失礼致します。小野寺様からご紹介頂いた、馬場でございます」

お辞儀をすると、馬場さんは持参のソックスに履き替えて

さっとエプロンをつけた。

聞くと、必ず訪問先へはソックスを持参し、作業をはじめる前に履くように

しているそうだ。先方の床を汚してはいけない配慮からだという。

私は本当は馬場さんに調理を頼みたかったのだが、事前の連絡で

調理は受けかねる、掃除ならと取り決めてあった。

話を聞くと、今までいろいろなお宅で仕事をしたが

調理は家庭で味付けにそれぞれこだわりがあり、苦労したと言う。

味付けは勿論の事、食材の硬さや食材の切りかたなど顧客の要望は

あまりに多様で繊細で、その都度満足して貰うのに悪戦苦闘した。

そんな経験から、いっそ受けない事に決めたという。

たぶんお料理上手だと思うのだが、残念だ。

 

「安井様、では本日はどのように致しましょうか?」

「安井『様』」! 「ひまわり」でも「たんぽぽ」でも「さん付け」だった。

いきなり奥様になったような、ちょっといい気になったり戸惑ったりしながら

「ええと、もう家全体が散らかっていますけど、リビングを中心に片づけて、

ゴミ出しと出来れば掃除機もかけて下さい」と答えた。

「承知しました。これはここへ片づけて欲しいなどのご要望はありますか?」

「いえ、お任せします」

「かしこまりました」

 

約束の三時間が過ぎた。馬場さんから声をかけられて私は寝室を出た。

「あっ」と思わず声を上げた。あれほど散らかっていたリビング、廊下

、キッチンが見事なまでに片づけられている。見惚れてしまった。

馬場さんは一を聞いて十を知る人だった。

家具は磨き上げれられ、ごちゃごちゃだった日用品は綺麗に並べられ、

細かい所まで拭き掃除がされていた。

プロの技とはこの事か。馬場さんに費用を払いながら

話を聞くと、元々は家政婦紹介所に属しており、

色々な家庭を紹介され回っていた。そのうち彼女の凄腕にほれ込んだ

顧客に、紹介所の規約に縛られず手伝って欲しい。フリーになるよう勧められ、

口コミが口コミを呼んで、現在は個人で仕事を請け負っているという。

紹介所で鍛えられたのか、技量のみならず、マナー・礼儀も行き届いていた。

小野寺さんがそうであるように、顧客と合意さえすれば、鍵を預かって

留守時に家事を済ます事も応じているとか。

食事を請け負っていないのは痛手だが、彼女の卓越した家事能力は魅力だった。

 

しかしかなり迷った末、最終的に馬場さんに継続してお願いする事はしなかった。

理由の一つは調理を頼めない事だったが、大きかったのは費用の問題だ。

馬場さんは一時間3500円だった。+交通費実費。馬場さんの家は我が家から離れて

おり、バスと電車を乗り継いてこなくてはならない。交通費だけでも馬鹿にならない

額だった。また、フリーであるので何かあった場合の対処にも一抹の不安があった。

セレブ妻体験は一日で終わった。

 

私のヘルパー探しの彷徨は続く…

 

追記 

家事育児に本当に悩みづづけたのは散々書いた。

ヨーロッパ(英など)にはナニーと言う職種があって、住み込みで

子供の身の回りの世話の他、しつけや教育をの一切を担うという。

ナニーを置き、子供をお願いし、家事は住み込みの家政婦に任せる。子供は

小学校か中学校から全寮制の学校に入れる。

そんな事が出来たらなぁ、それならうつ母でもなんとかなるのになぁ

絵空事を何度か重い描いた。

ナニーだの住み込みの家政婦なのど雇えるのは、裕福な豪邸に

すむ家庭。うちはそもそも給料を払えるかどうかの話だし

狭い家のなかに使用人が二人も住み込んでいるなんて、考える

だけでおかしい話なのだけど。