スピリチュアル図鑑9(高知)猥褻霊能者
この話は今思い出してもむかむかする。そして自分の愚かさにも腹が立つ。
スピリチュアルではずれ籤を引き続けて来たけれど、最大のはずれ籤の一つが
今回の高知(仮名)だ。高知に大しては今も怒りと軽蔑が消えていないので、敢えて呼び捨てにする。
高知を知ったのは書籍だったと思う。サラリーマンだった高知が、ある時偶然霊能力者と出会い、彼の下で修行を積んで自らも霊能力を身に着けたとの事。
写真も載っていたが、実直そうな、いかにもサラリーマン上がりの風貌で、信頼出来そうだとその時は感じてしまった。私の勘なんていい加減なものだ。
高知は某県に住んでいたが、時々他県に出張鑑定をするという。連絡を取ると2か月後に私の住んでいる地方に出張鑑定に来るとの事。○○駅前の××ホテルに投宿するので
部屋まで直接来て下さいとの事だった。
本来、ホテルでは宿泊客以外は部屋に入ってはいけない。面会はロビーやティールームですることになっている。そこからしておかしかったのだが、個室の方がプライバシーが守れるかもしれないなどと判断してしまった私もまたおかしかった。
「△△号室に泊まってます。フロントを通さず、直接来てくださいね」と高知は言った。
時間ぴったりに客室をノックすると、スーツ姿の高知が出迎えた。本の写真通り、
愛想の良いサラリーマンといった風情だ。
「ようこそ。ところでさっそく書類にサインを頂きたいのですが」と紙を出して来た。
「私はね、手のひらからパワーを出せるんです。それを相手に注入する。でも服も上からだとそれが弱まってしまう。素肌に手を当てることで最大限に効果が出るんです。
だから、私があなたの素肌に触る事に同意して頂きたいんです。トラブルになるのも
困るでしょう」
青森先生なんて遠隔でパワーを飛ばすと言っていたのに、
布一枚隔てる事でパワーが弱まってしまうのだろうか?しかし弱くなっている心、何かにすがりたくてしかたがない気持ちは冷静な判断を妨げる。。私は言われるがまま、紙にサインをした。
高知は安堵したように紙を鞄にしまうと、私の悩みの聞き取りを始めた。
「なるほどね、辛いんですね。ではパワーを入れて行きますので、ベッドに横になって下さい」客室なので当然ベッドはある。私は横になった。
「背中にもパワーを入れるので、ブラジャーのホックははずしてくださいね」
言うとおりにした。
高知は服の下に手を入れ、仰向けにさせ、うつぶせにさせて私の素肌を触り始めた。
背中、お腹、脇、胸… 私は自分が置かれている状況が冷静に見えて来て、涙を
こらえながら怯えていた。何でサインしてしまったんだろう、直接触らないと
パワーが伝わらないなんて甘言になんで乗ってしまったんだろう…
後悔と恐怖におののきながらひたすら時間が経つのだけを待った。
「はい、もういいですよ」と高知は言った。優し気に見える営業スマイルはドアを
空けた時と変わらない。
むくつけき男性が相談に来ても素肌に触るのか。サインさせた紙は、自分が疚しいことをしていて、問題になった時にための対策か。卑怯者。
言いたいことは山ほどあったけれど、密室に男性と二人なので、逆上されたら
怖い、
「パワーは入れましたが、お札も差し上げます」手書きの、漢字ではない、梵字のようなものが書かれた紙をくれた。
私は一刻も早くここを去りたかったので、料金を置いて手早く荷物をまとめた。
「また困った事がありましたら、いつでも相談に乗りますから」
冗談じゃない。霊能者を騙って、お金を貰って女性の体を触るのか。卑劣な男。わいせつ罪で警察にでもしょっぴかれればいい。お札とやらはすぐ捨てた。
時々霊能者や、僧侶や神職が除霊や祈祷といってわいせつ行為を
行った記事を見る。その度に高知を思い出し、人の弱った心につけこむ行為の卑しさに胸が悪くなる。