そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

患者図鑑48 机上の空論1

暴君

毒親」に悩まされてきたのは検見川さん

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だけではない。根来さんの場合は、絶望的な喜悲劇だった。

根来さんは父方の祖母、両親、弟との5人家族で育った。父(良一氏)は学者で

母は専業主婦。弟は3歳下だった。

祖母は生まれた時代もあるのだろうが、強烈な長男教で、良一氏と孫の良介氏を溺愛し、

優遇。反面女である根来さんの母と根来さん(久美さん)をないがしろにした。

祖母に大切にされて育った良一氏は結婚してからも専制君主のように暴君で、自分に従い仕える事を求めた。唯一、後継ぎ・長男である良介を除いて。

良一氏は学者で、専門は「教育」、しかも「家庭教育」だった。良く自宅で仕事をしており、部屋に籠って専門書を読んだり、論文を執筆していたそうだ。

家事・育児は一切手を貸さない。それどころか少しでも子供が騒ぐと「うるさい!邪魔だ、出ていけ!」どなりつけ、根来さんの母は久美さんと良介さんの手を引いて家から出る事がたびたびだったという。

しかし、毎回お金がかかるところ(遊園地や飲食店)に行くわけにもいかず、ただひたすら街中をぐるぐる歩き回ったり、公園でぼーっと座っていたり。およそ楽しい「おでかけ」とは程遠かった。そしてある程度時間がたつとそろそろとドアを開け、良一氏の雷が落ちてこないのにほっとして家の中に入るのが常習だったそうだ。

家に入るのが許されても、やかましくすればまた良一氏から追い出される。声を潜め 、極力音を立てないように過ごすのが日常だったと言う。

(文中は全て仮名・仮称です)