患者図鑑136 ゲームの魅力3
ソシャゲで課金すればするほどレアアイテムが手に入り、ゲームを有利に進める事が出来る。息子から聞いた話だが、億課金(!)で課金し、無双状態でゲームを進め、それをSNSなどにアップする。勿論そんな状態を投稿すれば見た人は驚嘆(賛美も有れば呆れもあるだろう)し、その反応を見てプレイヤーはますますエスカレートしていくそうだ。
「えっ、課金に億単位??」
「そうだよ。それで有名なプレイヤーもいる。一人や二人じゃないよ。」
そんなにお金を、形のないものに使ってしまって大丈夫なのだろうか。他人事ながら
心配になってしまう。
無敵の武器や、魔法の宝石は「ゲーム上の物」でしかない。手元に本当に剣や石が残る訳ではない。
ボスを倒せば楽しいけれど、それは仮想のボスであり、ボスを倒そうが倒すまいが、現実は何も変わらない。
確かに楽しい。現実逃避も悪くない。カタルシスもある。ゲーム自体を悪者扱いする気持ちはないけれど、多木君のようにそれが生活の中心になり、何を置いてもゲームをするようになるのは問題だと思う。
多木君は食べず、寝ず、学校に行かず、部屋から出ず、洗顔や歯磨き、風呂にも入らなかった。
私が鬱(のち双極性障害2型の鬱状態と判明)の時、医師から入院の一つの目的は生活リズムを立て直す、つまり朝はきちんと起きて身支度を整え、三食規則正しく食べる。夜は寝る準備をしてしっかりと睡眠を取る。それが大事だと強調された。
生活が乱れた状態だと、精神にも悪い影響が及び、逆もまたしかり、である。
とは言え、例えば何かの研究に没頭してなしとげようとしている人は、それこそ研究室に籠りっきり、食事も睡眠も適当という事があるだろう。
そういう人は時には鬱っぽくなったりすることもあるようだが(思うように成果が出ないと余計に)成果が出れば万々歳だし、もし仮にうまく行かなくても、その時の研究がまた別の研究のベースになる事もある。ゲームで✕✕を倒した、○○帝国を滅ぼしたよりはしっかりとした結果が残るのではないだろうか。
お金を億単位で使っても、時間を何百時間と費やしても、結局手元には何も残らない… それを承知した上でゲームをし、自分をコントロール出来ればいいのだが。
(文中は全て仮名・仮称です)