そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

病院での正月ー 産婦人科編1

妊婦

精神科単科病院のB病院でのお正月について書いた。

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私は別の機会にやはり病院入院中で越年した事があるので、その時の思い出。

妊娠高血圧症候群

www.jsog.or.jp

になってしまい、11月から入院。なかなか退院できる状態にならず、とうとう越年となった。入院していた病院を仮にc病院とする。

c病院はその地域では産婦人科では一番設備が整い、救急対応もしていた。私は大部屋で、10床はあった。

産婦人科」だから、入院患者は妊婦ばかりではない。婦人科系の病気の人も入院していた。ただ、妊娠中になんらかのトラブルが起きた人(例えば私)と、出産後の患者は同じ部屋になることがないよう分けられていた。

私は2か月近く入院していたから、色々な患者さんが出入りして言った。妊娠高血圧症候群は安静が必要だから、あまりフラフラ出歩く事もなく、近くのベッドの人と話したり本を読んだりして過ごしていた。常に同室の人がいたので話し相手には困る事がなかったのだが、年末が近づくと一人退院し、二人退院し…

10床が全て埋まることもあった病室が私一人になってしまったのだ。

急を要さない手術はスタッフも休みに入るので年末年始には入れないし、入院中の患者でも正月は自宅に帰りたいという要望が多いので、医師も出来るだけ帰らせるようにしていた。患者も帰れるよう諸指示を忠実に守っていた。私も忠実に守っていたのだけれど(涙)

釧路の精神科「異常事態」ニュース ースーツケースの彼女番外編 

北海道

ネットニュースをみていたら

news.yahoo.co.jp

北海道釧路で、精神科の医師不足が深刻な事態になっていると報道されていた。

何と新患外来受診まで最大待ちが半年。

同記事には「近年は精神科に通う心理的ハードルが下がった」とあるが、そうは言っても内科や外科受診よりは格段にハードルが高い事は想像に難くない。苦しい状態に耐え、逡巡、葛藤を繰り返し精神科にかかる人は今でも少なくないと思う。

ぎりぎりまで我慢して、決意して病院に連絡したら「受診は半年後」と言われたら…

苦しい状態で半年待つのは辛い。それだけで絶望的な気持ちになって、病状が悪化しそうだ。急な病状悪化や入院には対応出来ているのだろうか。

医師の偏在は精神科に限った事ではないけれ、その裏腹にその必要性を身をもって感じているのでこのニュースには心痛み憂慮してしまう。

 

大都市ならば開業医、総合病院、精神科単科病院までいろいろ選択肢がある。

前ブログで

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精神科の待合室に毎回スーツケース持参で現れる女性患者について書いた。

彼女がそもそも遠方からきているかどうかも、想像の域を出ないのだが

本当に「地元に受診できる病院(診療所)がない」「半年待たなくてはならない」と言った理由で泊りがけで遠方から受診に通う患者が出て来るかも(もしかしたら既にいるのかもしれないが)しれない。

 

私の知人は某県の県庁所在地、県でも一二を争う人口の死に住んでいる。彼女も幾つかの精神疾患を患っている。彼女によると、市内のメンタルクリニックは数えるほど、入院できる病院となると大学病院、市民病院の二つしかないという。その一つは閉鎖病棟しか持っていない。

大学病院は市の中心地からかなり離れたところにあり、彼女の家からはアクセスが悪い。彼女は運転をしないので、タクシーで通うと費用がかさむし、公共交通機関を乗り継ぐと受診のたびにぐったりと疲れてしまうので(待ち時間などを含め)いきおい市民病院一択なのだという。

実は診て貰っている医師は彼女曰く若くちょっと頼りなくて、十分に満足している訳ではないのだが他に選択肢はないのだ。新幹線や飛行機を使えば、大都市の病院受診も可能ではあろうが金銭的に負担が大きいし、体力も使うので現実的ではない様子。

 

交通の発達。医療の進歩。医療機関を自由に選べる制度。そんな日本にあっても、診察を受けられず苦しんでいる人がいると思うといたたまれない気持ちになる。

起きてるけど寝正月

お正月

皆さま新しい年を如何御迎えでしょうか。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

病院のクリスマス

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晦日

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と続いたので今日は時系列に沿いお正月。

B病院のお正月はまったり、ゆったりでした。年末年始は基本的に医師の診察、カウンセラーとの面談、作業療法、全てお休みです。

だいたい一般診療は3が日明けから受け付けるようでしたが、年末年始休みにたまった患者さんが受診されるようなのでそちらの対応が優先されていたような気がします。

なので私達入院患者は特にする事もない(笑)手持ち無沙汰とも言えます。自宅に帰れる環境の方はとっくに帰宅しているし。日帰り外出が許可されていて、元旦に帰宅している人はいました。でもお正月のめでたく楽しい我が家から帰宅するのは後ろ髪をひかれる思いがして辛かったようで、病院に帰ってくる人たちの顔は一様に暗かったです。

一応元旦の朝・昼くらいはお正月らしいものが出ます。おせちや、餅は詰まらせる危険もあってでしょうか白玉で代用されていました。白玉もモチモチして美味しく、悪くない、と思ったものです。

近場に神社でもあれば、ちょっと初詣でも、と言う話になるもなるのでしょうが、あいにく気軽に行ける距離に初詣の場所はありませんでした。

あとはだらだらと放映されるお正月番組をだらだらと見る。しかしお正月番組は紅白のような絶対定番がなく、ヌシ部屋の人々

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にチャンネル権を握られていました。ヌシ部屋の人は一人としてお正月帰宅をしないのです。日帰りすらも。外出・外泊許可は、患者の病状は勿論ですが、帰宅した場合その患者を受け入れられる体制があるかも医師は重視していました。例えば家族がいれば、家族がサポートできるので若干基準は緩みますが、一人暮らしだと全部自分で対処しなくてはならないので、ハードルは上がります。これは精神科に限った話でないかもしれません。ヌシ部屋の人たちは色んな意味で条件が整わなかったのでしょう。

最近は元旦ではないですが、箱根駅伝を見ていますが、B病院では駅伝を見よう、と声は全く上がらず何だろう… お正月特番初笑い のようなものが随時流れていました

特にやる事もない患者たちは、大晦日の残りの菓子や飲み物を持ち寄ってだべります。

また、新聞を取っている人があの元旦の分厚い新聞を回し読みしたりもしています。

 

横になってこそいないものの、気分は「寝正月」そのものです。

大晦日

年越しそば

2022年もあと数時間で終わりです。さして深く考えもなく始めたブログでありますが。

何事も長続きせず飽きっぽい私がここまで続けられたのは本当に有難い事です。

大きく体調(心調)を崩すこともなく過ごせた事も大きいです。

 

さて、精神病院でのクリスマスについて書きましたので

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今度は病院の大晦日&お正月。

「一日外出録ハンチョウ」という漫画があって、借金で首が回らなくなって地下で労働させられる人たちが、大晦日&正月だけは無礼講や多少の我儘が許される事が描かれていた。我儘といっても年越し蕎麦のネギのおかわりくらいの話だが(笑)

 

精神単科病院、B病院においても多少の特別感があるのが大晦日・お正月であった。

帰宅する人も多かった。帰宅(外出・外泊)は主治医の許可が必要で。病状によって

二週間に一回とか、一回に二泊までなど決められていた。クリスマスに帰宅する人が少なかったのは。お正月に外泊権を確保しておきたいという事情もあったのだと思う。

 

お昼過ぎ位までは、いつもとさして変わらないが、夕飯に年越しそばが出されるあたりから段々みんなのテンションが上がってくる。共用テレビは紅白歌合戦。普段は9時消灯なのだが、この日ばかりは制限が無い。勿論眠くなちゃった、と途中で自室に帰る人はいたけれど。

それぞれお菓子や飲み物を買い置いて、食堂のテーブルに広げながら見るともなく紅白を見て時間を過ごす。取り立てて何かある、という訳ではないのだけれど新年を迎えるという軽い興奮と今日ばかりは特別、という高揚感が漂っていて心地よい時間だった。

 

そして紅白が終わると、「そろそろ皆さんベッドに戻って下さい」と看護師さんから声がかかる。「ゆく年くる年」に心を残しながら洗面所に向かいぐずぐず時間をすごしていると12時を迎える。

「新年おめでとう!」とお互い言い合ってベッドに帰って新年度の入院生活一日目が始まるのである。

患者図鑑129 スーツケースの彼女

スーツケース

この彼女、小久保さんも受診の際に良くみかける人。私の主治医が診察する曜日に、隣の部屋で診療をする越中医師が主治医のようだ。

小久保さんがが目立つのはーごく普通の格好をしているのだが。毎回毎回スーツケースをごろごろ引いてくるのである。

そして「小久保さん」と名前が呼ばれると、スーツケースを転がして入っていく。そして会計窓口にスーツケースを携えて去って行く。

一回や二回では気にならなかったと思うが、彼女は毎回スーツケース持参だった。海外旅行に行くほどのサイズではなく、国内2,3泊旅行に適切な大きさである。

ちょっとそのスーツケースの色合いが変わっていて(目立つ色である)、毎回車輪の音を立てて転がしているのでいきおい目についてしまうのである。

他の受診者は、私もそうだがトートバッグやハンドバッグや… ちょっとそこまで、という身支度である。

何でわざわざ毎回ああ大荷物を持って来るのか、不思議だった。

一つの仮説としては、彼女はどこか病院から遠い所から通院しており、泊りがけなのではないか。

先日病院仲間の笹島さんと話をした。笹島さんは親戚の冠婚葬祭で新幹線で2時間かかるところに行かなくてはならなかったという。新幹線で二時間ー なら日帰りも軽く出来てしまうと思いそうだが、彼女の場合前日入りして体調を整え(一日目)観光総裁に出席。新幹線の駅の近くのホテルに移動(二日目)帰途につく(三日目)という3日がかりの予定を組んでいた。主治医とも相談してそのプランになったのだと言う。

小久保さんがそもそも遠方に住んでいるかも想像に過ぎないのだが、笹島さんの例を取れば日帰りできるような距離であっても泊りがけはありうるな、と思った。

(文中は全て仮名・仮称です)

患者図鑑128 非ファッショナブル(というかファッション以前)

不潔

待合室のユニークな人々の様子を書くと、精神科の待合室って変わった人ばかり!?安井はいつもしげしげと他の患者を観察しているの??と思われるかもしれないが、そんな事は全くない。

殆どの人は、内科・外科で待っている人と何ら変わらない。普通の格好をして、静かにスマホを見たり本を読んだりしている。

しかしたまー-にちょっと目を引く人がいる。しかし、前回書いた舞台メイク(風)

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の女性

にしろ、一度見かけたくらいならさして記憶に残らない。通院の曜日が同じせいか、何度も顔を合わせそしてその度にその独特が堅持され、時にエスカレートしているから自然印象が深くなってしまうのだ。

という私も人の事を言えた義理ではない。うつが酷いと身の回りの基本的な事、洗顔や歯磨きすらできなくなる事は何度か書いた。

しかし、通院だけは死守した。薬を貰わなくては、この苦しみを医師やカウンセラーに伝えて少しでも緩和したいという気持ちから体に鞭打って病院に身を運んだのだ。

当日の洗顔どころか、何日も入浴していない。服は昼夜分かたず同じ物を着ていたのだが着替える気力も無く、何日も寝起きした汚い皺だらけの服、そしてこれは病院について気づいたのだが靴が左右揃っていなかった…

そして医師に「もう2週間もお風呂入っていないんです。(2週間前が直近の受診日だった)その時着て来た服から一回も着替えていないんです」と涙ながらに伝えた。

しかし思い出してみると、主治医はたじろぐ事もなく「ああ、そうなの?じゃあ薬変えてみるか」と平然としていた。私自身が入浴や着替えもしない自分自身にドン引きしていると言うのに。

その時の私を他の患者が見ていたら、くしゃくしゃの頭、顔は汚れしわしわの服、靴は左右違う、そばに寄れば多分臭い… と呆れられたと思う。

しかしうつが少し良くなると、おしゃれはしないまでも一応清潔な格好、髪はとかし洗顔もし、左右靴も揃った物を履いて行くようになるのであった(ごく当たり前の格好なのだが)

 

患者図鑑127 ファッショナブル

化粧

今回触れる女性患者も、私が通院の度に見かける女性。初めて彼女を見かけたのは待合室ではなくてトイレであった。

用を足して(ここまで書かなくてもいいか(笑))手を洗おうとすると、隣の洗面台の前にその人が居た。念入りに化粧直しをしているようだ。

見るともなく横を見て驚いた。なんだこのメイクは!!

 

私は友人につきあってミュージカルを見に行った事がある。1000人以上の座席を持つ大劇場だった。友人、なおみが自分の親類のゆきが出演するから、と誘って来たのだ。

幕後になおみからゆきに挨拶に行こうと誘われ、楽屋へ行った。舞台を降りたばかりでまだ額に汗の残っているゆきちゃんのメイクはそれはびっくりびっくりするレベルだった。

特にアイメイク。ものすごい濃く太いアイライン、クレオパトラのようなアイシャドウ。つけまつ毛はひじきどころかいそぎんちゃくかくらげかというレベル。

ゆきちゃんの素顔の写真を後で見せて貰ったが、僅かに面影があるかないか?という程の違いだった。

確かに大劇場ではあれくらいのメイクをしないと舞台映えもせず、ぼんやりとした表情になってしまうのだろう。現に舞台に立っているゆきちゃんは全然違和感がなく、可愛らしく(可愛らしい役柄だった)自然だった。

 

話が逸れてしまったが、私の真隣でパフをはたいている彼女の鏡の中の顔… それはゆきちゃん並みのメイクを施しているのだった。

服装はと言うと、黒のエナメルのぴったりしたワンピースと10cm以上はあるピンヒール。帽子… 調べてみたら、カクテルハットという形が近い。帽子にはコサージュとレースがついている。

帽子は、防寒や陽射しを避ける以外に被るのは余り一般的ではないと思う。パーティーやとてもフォーマルなお呼ばれならともかくも。ここは… 病院。

彼女は今から舞台に躍り出そうな格好で化粧直しをしている。ここからどこへ行こうと言うのか。このトイレから繋がっているのは劇場でもパーティー会場でもなく、精神科の診察室だと言うのに。