そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

ヘルパー図鑑6(羊田さん)生協関連団体 ー前時代的家事ー

「ゆり」(仮称)は生協が母体の有償家事援助団体だ。

利用者、援助者共に生協の組合員である。利用者が「ゆり」事務局に

申し込みをし、事務局で条件に合った援助者を探して調整する。

確か1時間900円?+交通費だった。馬場さんのときと比べると約5倍違っている。

我が家のような層は有償家事援助団体が身分相応のようだ。

私は生協を利用していたので、商品カタログに交じって入っていた「ゆり」

のチラシを見て事務局に問合せて見た。

しばらくして事務局から連絡があった。こちらの要望に合った人

(週2回、2時間。夕食を作ってもらう)が見つかったそうだ。

契約や説明を経て、我が家に来たのが羊田(仮名)さんだった。

羊田さんはまだ20代と思われる、ボブヘアの少しふっくらした方だった。

 

「2時間で夕食と、余った時間でお掃除をお願いします」

私は彼女を台所に案内した。

その頃はその日の朝食、場合によっては前日の夕食の皿洗いが終わっていない

事もしばしば。

「ひまわり」でもまず台所を一旦綺麗にしてから調理にとりかかり、

後片づけして帰るのが、ヘルパーさんの手順だった。

その日も台所はごちゃついていた。

私「すみません、散らかっていて。食器洗い機はこちらで使い方は…」

羊田さん「いえ、食器洗い機要りません。私、手洗いする方なんで!」

ちょっと面喰ったが台所の使い方の説明を続けた。

「包丁はここ、鍋やフライパンはこの下です。電子レンジの使い方ですが」

「電子レンジ使いませんので!」

またまたの発言に私は目を白黒させた。

食器洗い機は、スイッチを入れてしまえば手が空くので、他のことに

取り掛かれる。電子レンジは冷凍品の解凍や野菜の下茹でにも

使えるので、時短になり洗い物も減る。家事の手間を省いてくれる、

便利な道具なのに。

羊田さんは若いのに、電化製品の活用はしないのだろうか?

とは言え、使わないものを強要は出来ないし、任せて寝室に戻った。

途中でトイレに行くついでに、台所をみて驚いた。

もう来てから20分は経っているのに、まだゆっくりゆっくり朝の

食器を洗っている。

(食器洗い機を使えばあっと言う間なのに)という言葉を飲み込んだ。

そのあと「すみませーん、塩が切れていて。どこですか?」

呼ばれて台所に戻った。塩を出しながら、羊田さんの

手順を横目で見ていると、(ここは電子レンジを使えば早いのに。洗い物が減るのに)と気を揉んでしまう。

しかしここでも口には出さす、台所を去った。

2時間経って声がかかった。

「ごめんなさい、時間が足りなくて」食事は出来ているが

調理の後片付けをする時間がなかったという。掃除も手を付けられなかったと。

汚れた鍋やまな板をそのままに彼女は帰って行った。

私はそれらを食器洗い機に一気に放り込んだ。

 

次回羊田さんが来た際も、食器洗い機は使わず皿洗いに時間を取られていた。

ただ今回は後片付けを終えて、少し時間が余ったので掃除をするという。

「掃除機はここです。クイックルワイパーのほうが良ければ…」

といいかけると「いえ、箒とちり取りでやりますんで!」

としゃかしゃか掃き始めた。

 

家事にどんな道具を使うか、もしくは使わないかは本来その人の自由だ。

とは言え、「家事援助」を委託され、限られた時間で依頼された内容をこなす時

便利な家電製品を頑なに使わず、無駄に時間を費やしてしまうのはどうなのか?

 

私は事務局に事情を話し、普通に食器洗い機や電子レンジを使って

くれる方をお願いします、と頼んだ。

しかしうまく条件に合う人が見つからなかった。ここで「ゆり」

の利用も終了となった。