ヘルパー図鑑22(千葉さん)タバコ休憩の後始末
「つばき」では週2回、ヘルパーさんに来て頂いていた。できるだけ等間隔
になるようにと、月木や火金で日程を組んで貰っていた。
ただ、人員の都合がどうしてもつかなくて水金になった時期がある。
水が秋田さん
で、金が千葉(仮名)さんだった。
千葉さんの来る日は水から中一日なので、片付けも掃除もそう溜まっていないはず。なのに毎回何故か積み残しがあった。
今日は掃除機がかけられませんでした
時間がなくてコンロの汚れがそのままです
秋田さんが金曜日のやり残し+土~火までの家事を一気にこなしてくれ、なんとか回っていた。どうして千葉さんは毎回時間が足りなくなってしまうのだろうか。段々疑問に感じてきた。
それとなく様子を見ていると、千葉さんはゴミ出しにとても時間をかけるのだ。
うちはマンションだ。エレベーターで一階のゴミ置き場にゴミを持って行く。
エレベーターは二基あるし、うちは高層階でもないので大して時間は
かからないはずだ。しかし千葉さんは15分は優にかけていた。
その理由がある時分かった。私がお手洗いから出るタイミングと、千葉さんがゴミ出し
から帰ってくるタイミングが偶然重なったのだ、私が部屋から出ているのを予期していなかったのか、千葉さんは慌てて何かをポケットに突っ込むのが見えた。
「どうも」とお互い会釈をして、千葉さんが私の隣をすれ違った時たばこの臭い
がした。「たばこ休憩」と瞬時に閃いた。
私が調子が良くてバイトをしていた頃、リーダーがヘビースモーカーだった。
本来常にデスクにいなくてはならないポジションなのに、一時間に一回は席を
立っていた。リーダー宛に電話が入り、「どこに行かれたんでしょう」と
周りの人に聞くと「たばこよたばこ!20分は帰って来ないから」と言われた。
吸わないと我慢できなくなるらしい。
千葉さんもリーダーと同じ、吸わないといられないのだろう。部屋の中で
吸う訳にはいかないが、ゴミ出しは絶好の機会だ。
秋田さんが手早く家事をする方だったので助かっていたが、
千葉さんの尻拭いをする形になっていたのは気の毒だった。