そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

患者図鑑111 鷲塚さんのイタリアンデビュー6

女子会



という訳で、無事にXでの夕食会は終了した。皆、おいしい(&お得)な食事をお腹いっぱい堪能し、帰路についた。

前の記事に書いたように、外出も稀で外食などしたことがない

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(医師から止められている訳ではない)鷲塚さんにとって、今回の外食は驚嘆の連続だったようだ。

ピザ、ラザニア、ティラミスなどイタリアンに詳しくない人でも知っている様な料理が彼女に取っては初見だった。一つ一つ説明するのに苦労した。例えば、ピザハワイアンならパイナップルとハムとチーズが乗っているピザだよ、と言えばいいが、そもそもピザは何ぞや??と聞かれると、解説して分かってもらうのは一仕事だった。

とは言え、鷲塚さんは今晩は楽しい夜のようであった。珍しく少し興奮気味で多弁にもなっていた。

ピザを知らない、かぁ。病院への夜道を歩きながら私はつぶやいた。今どきは小学生でも、地方に住んでいてもピザを知らない人を探す方が珍しいだろう。ピザは飽くまで一例で、例えば社会情勢であるとか、流行りものや芸能人など多分鷲塚さんは無縁の浦島太郎状態なのだろう。病院という閉ざされた限られた世界で、最低限のルーティーンをこなしていけば生きては行ける。けれど、それは本当に狭い世界で、小さな小さな自分で生きて行く事だ。それって一体幸せなのだろうか。でも自分の世界を狭める事でしか生きていけない人もいるかもしれない。今回の夕食会では色々考えさせられた。

(文中は全て仮名・仮称です)