患者図鑑118 りんごは誰が切った
utuutuyasuyasu.hatenablog.com で、入院中に起こったミステリアスな事件について書きかけていたら自分自身にミステリアスな出来事が起こってしまった。
つやつやなリンゴが送られてきた。食べるのを楽しみにして就寝した。翌朝、目が覚めて台所に行くと、まな板の上にリンゴが8つのくし切りになって置いてあった。包丁もそのままだ。置きっぱなしになっていたので、リンゴは茶色に変色していた。
「ちょっと、誰がこんなやりっぱなし、置きっぱなしにしたの!」と憤慨してふと思い出した。昨晩、家族は出かけていて家にいるのは私しかいない。リンゴを切るのは私意外にいないのだ。
似たような事は以前にもあった。前に記事を書いた気がするのだが、見つからないので
もう一度書くと、テレビを見て「丁稚羊羹」というお菓子に興味を持って取り寄せたところ、翌朝包装紙のみがゴミ箱に入っていて、中身がなかった。
私はてっきり息子や夫が食べたのだと思い責めると、本当に知らないと言う。それどころか羊羹が届いていた事すら気づかなかったと。
その後、通院の際に医師に聞くと、睡眠時随伴症だろうと言われた。睡眠中におこる異常な行動や体験で、私は睡眠状態のまま羊羹の包装紙をはがし、食し、ゴミをゴミ箱に捨てて寝床に戻ったのだ。どんなに頑張っても、羊羹を食べた事は全く思い出せなかった。羊羹を食べた夢すら見た記憶がない。
「それってねぇ、時々あるんだよ」と私の動揺をよそにのんきそうに主治医はいう。「歩き回ったり、人に話しかけたりね」
「私、全然覚えてないんですが」
「そういうものだよ」
「例えば、私が睡眠状態で羊羹を食べている時家族が私に話しかけたとします。その場合、きちんと会話は成り立つんですか?支離滅裂な事を言ったりしないんですか?」
「ちゃんと会話は成り立つよ」