精神科医十三人目 英語堪能
先日、主治医のところに行ったら薬が一部変更になった。
「今の✕✕ではあまり効果がないようなので、○○という最近認可された薬に変えてみます」
と耳慣れないカタカナの薬名(商品名)を告げられた。
薬の商品名は各製薬会社が独自につけて商標登録するものらしい。
向精神薬で言うと
うつの時に処方されるデパス⇒ depression pass
ドリエル(〃)⇒ dream well
ロゼレム⇒ rose rem(レム睡眠)
サイレース⇒silence
だそうだ。
薬効を分かりやすく、また病気治癒の願いもこめて、語呂が良く被らない名前を考えるのだろう。
しかし今回私が書きたかったのは、薬の命名の話ではない。今回主治医の五島医師が
新しい薬名を口にするのを聞きながら、前に受診していた三重医師の事をふと思い出したのだ。
五藤医師に限った話ではないが、処方薬を口にする時大抵の医師は普通にカタカナで棒読み、文字のまま平坦に読む。
しかし三重医師はいちいち薬名をネイティブ流なんだかアクセントなんだか知らないけれど、ひどくもったいぶって発音するのがちょっと鬱陶しかった。
確かアメリカに何年間か留学していたらしく、そのご自慢も何回も聞かされたのだけれど、その影響だろうか。アメリカにいたのはもう何十年も前の話なのだが。
例えば「ジェイ・ゾロフト」という薬を処方された。普通なら「ジェイゾロフト」とさらっという所を「ジェイ」をちょっと口をとがらせて「ジェイ」と発音し、少し間を置いて「ゾ~~ロフト」と続ける。ゾ、も英語のZを非常に意識した発音で私たちが「雑巾」「雑炊」という時の「ぞ」とは違う。違うように発音しようと敢えてしている。
私は何種類かの薬を処方されていたが、その薬一つ一つを説明するのにちょっと大げさな、英語に即した(?)発音で言うのでそれが何だか滑稽でたまらなかった。
処方箋を持って近くの薬局に行くのだが、そこの薬剤師さんが普通にさらっと薬名を言うので、そのギャップがまたおかしいのであった。